ドアミラーにワイパー全車標準装備! ポストシーマ、社会現象を卷き起こすほどのクルマはない|1990年式 日産 セドリックシーマ タイプⅡリミテッド Vol.3|バブルでGO

購入後に純正色で全塗装したボディも状態が良い。

       
【 1990年式 日産 セドリックシーマ タイプⅡリミテッド Vol.3】

 では、シーマが売れまくったのはなぜか。バブル絶頂期という時代が後押ししたことは言うまでもないが、最先端のハイテク技術や電子制御が盛り込まれた3ナンバー車は、ユーザーの優越感を満たした。そして、何といってもその圧倒的なパワーだ。

 スポーツカーをも凌駕する加速は暴力的なほどだった。リアを沈み込ませながら加速して行く様に、オーナーの宮尾久之さんもほれ込んだ。「子供心にやっぱり走って行く姿の印象が強くて。もちろん今でも健在ですよ」と語る。

 シーマ以降の20年、社会現象を卷き起こすほどのクルマは誕生していない。その事実がシーマが希代の名車であることを雄弁に語っている。


OWNER’S VOICE
3万円で購入したY31シーマ/宮尾久之さん


手がかかるから愛情も深い

「基本的には大のトヨタ党なんですよね」というオーナーの宮尾久之さんは、GX61マークⅡやT132コロナを所有するなど、本気のトヨタマニアだ。そんな宮尾さんが、このY31シーマを手にしたのはなぜか。

「端正なデザインや暴力的な加速にはもともと魅力を感じてました。たまたまネットオークションで3万円で落札できちゃったんですよね」と、その経緯を話す。とはいえ“3万円”ではコンディションに不安が……。「会社の社用車だったみたいです。だから整備は行き届いていたし、エアサスは新品に交換されていたので、想像以上に程度は良かったですよ」とのこと。

 しかし、購入後は手がかかった。「燃料やエンジンオイル、冷却水は漏れたし、“シーマ病”って言われてますけど、ドア内の腐食もひどくて……。全部修理しましたけど」と言う。最後に「誰かこのシーマを引き取ってくれる人はいませんかね」と言っていたが、そんな宮尾さんのシーマを見る目は愛情に溢れていた。当分手放さないだろう。

「Y31シーマといえば」という装備となるワイパー付きドアミラーや、ハイフローセラミックターボFCNR-1型など【写真7枚】


1990年式 日産 セドリックシーマ タイプⅡリミテッド(FPAY31)主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 4890×1770×1380
ホイールベース(mm) 2735
トレッド前/後(mm) 1500/1520
車両重量(kg) 1650
エンジン型式 VG30DET型
エンジン種類 水冷V型6気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 2960
ボア×ストローク(mm) 87.0×83.0
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps/rpm) 255/6000
最大トルク(kg-m/rpm) 35.0/3200
変速比 1速2.784/2速1.544/3速1.000/4速0.694/後退2.275
最終減速比 3.900
ステアリング ラック&ピニオン式
サスペンション前/後 ストラット/セミトレーリングアーム
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 205/65R15(前後とも)
発売当時価格 436.5万円

初出:ハチマルヒーロー 2012年 11月号 vol.19(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1990年式 日産 セドリックシーマ タイプⅡリミテッド(全3記事)

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photo : ISAO YATSUI/谷井 功 text : Rino Creative/リノクリエイティブ

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