デビュー年に3万6000台以上を販売! その人気で高級車市場が一気に活気づき「シーマ現象」と呼ばれた|1990年式 日産 セドリックシーマ タイプⅡリミテッド Vol.2|バブルでGO

大柄でゆったりとしたサイズのシートは全グレードに電動調整機能が付き、タイプⅠ以外は後席もパワーシートとなる。

       
【 1990年式 日産 セドリックシーマ タイプⅡリミテッド Vol.2】

 コードネーム〝FEP〟この新3ナンバー車の開発に当てられた期間は、わずか2年。しかし、中途半端なクルマでは許されない。このクルマは、セドリック/グロリアの最上位車種として位置づけられるとともに、まさしく日産の顔であり、日産再生のシンボルだからだ。最上級車として一切の妥協をせず、急ピッチで開発された〝FEP〟は、セドリック/グロリアシーマ(以下シーマ)と名付けられた。

 こうして88年1月に誕生したシーマは〝爆発的〟に売れた。デビュー年に3万6000台以上が販売され、モデルライフの4年間で13万台に到達する勢いだった。シーマ人気で高級車市場が一気に活気づき、ライバルたちもその恩恵を受けた。シーマに負けじとトヨタファンはクラウンやソアラに走り、また輸入車などへの買い替えにもつながるほど、社会に大きな影響を与え、〝シーマ現象〟と呼ばれた。

宵越しの金は持たない、豪快な遊びグルマの伝説



 とにかく、もう、でかくて、豪華で、速くて、立派。シーマはあらゆる意味で「ザ・バブル」と呼ぶべき、時代を象徴するクルマだ。

 はっきりいうと、後発のライバル機種であるトヨタ・セルシオのほうが、機械としての完成度は高い。だが、セルシオは堅物で真面目すぎ、どこか暗い雰囲気をにじませている。

 一方でシーマは底抜けに明るい。いい意味で脳天気というか、放蕩を尽くした果てに消えていった江戸時代の豪商・紀伊国屋文左衛門のような、理屈を超えた爽快感がある。

 最初から最後まで計算ずくの生き方では、世の中が息苦しくなってしまうだろう。

 シーマに乗っていると、周囲から「単なるセドグロのストレッチ版」だの、「4ドアハードトップはボディ剛性が低い」だのと、大きなお世話な批評が聞こえてくるかもしれない。

 そんなときは、シカトでサクッとアクセルを踏み込めばいい。助手席のカノジョが軽く悲鳴を上げた後、すべてのタガが外れた「あの時代」へと一気にワープできるはずだ。

Vol.3に続く

極上コンディションのインテリアなど【写真8枚】

1990年式 日産 セドリックシーマ タイプⅡリミテッド(FPAY31)主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 4890×1770×1380
ホイールベース(mm) 2735
トレッド前/後(mm) 1500/1520
車両重量(kg) 1650
エンジン型式 VG30DET型
エンジン種類 水冷V型6気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 2960
ボア×ストローク(mm) 87.0×83.0
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps/rpm) 255/6000
最大トルク(kg-m/rpm) 35.0/3200
変速比 1速2.784/2速1.544/3速1.000/4速0.694/後退2.275
最終減速比 3.900
ステアリング ラック&ピニオン式
サスペンション前/後 ストラット/セミトレーリングアーム
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 205/65R15(前後とも)
発売当時価格 436.5万円

初出:ハチマルヒーロー 2012年 11月号 vol.19(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1990年式 日産 セドリックシーマ タイプⅡリミテッド(全3記事)

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photo : ISAO YATSUI/谷井 功 text : Rino Creative/リノクリエイティブ

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