ソアラのエンブレムは「羽の生えたライオン」|1990年式 トヨタ ソアラ 3.0GTリミテッド Vol.2|バブルでGO

ソアラのエンブレムは「羽の生えたライオン」となっている。

       
【 1990年式 トヨタ ソアラ 3.0GTリミテッド Vol.2】

 しかし、Z20はこれだけではない。目に見える部分だけでなく、見えない(分かりづらい)部分にも相当なコストが掛けられている。

 たとえば、空力特性に優れたZ20のエクステリアは、表面段差が最大でも1mmまでに抑えられている。当時のクルマでは驚異的な数値だ。しかし、これによってドアのシール面積が減少し、空気が漏れたり、風切り音が発生する恐れがある。それを抑えるために、3重のフロントシールや複雑な形状のウェザーストリップを採用している。また、足回りではサブフレームにアッパーアームとロワアームも取り付け、乗り心地を向上。さらに、世界初の4リンク式のドアヒンジを採用し、4ドアセダンをも凌ぐ乗降性を実現している。

バブル国産車を先導した華麗なる2ドアクーペ



 世にいう「シーマ現象」が起きる数年前、初代ソアラはすでに社会現象を引き起こしていた。排ガス規制の暗黒期を脱して間もない80年代初頭、国産車なのにベンツやBMWより速い初代ソアラは、天照大神のごとく、崇高で光に満ちた偉大なクルマだったといえよう。

 バブルの最高潮の時期を駆け抜けた2代目ソアラも、まったくもって別格の存在だった。シーマもセルシオも確かにすごい。だがソアラには、新参者が絶対に持ち得ない経験の積み重ねがある。4ドアセダンでは決して味わうことのできない、優雅な安らぎがある。

 あのバブルの時期にあっても、パーソナルな2ドアクーペを自然に乗りこなしていた層というのは、意外なほど少なかったのだ。

 前へ前へ、上へ上へ……と、24時間戦い続けていたバブル期の日本。ソアラというクルマは、その次に目指すべきだった真の豊かさを、さりげなく具現化していたような気がする。

Vol.3に続く

車両情報や燃費モニター、地図情報など、さまざまなソースを表示することが可能なエレクトロマルチビジョンなど【写真9枚】

1990年式 トヨタ ソアラ 3.0GTリミテッド(MZ21)主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 4675×1725×1335
ホイールベース(mm) 2670
トレッド前/後(mm) 1460(前後とも)
車両重量(kg) 1550
エンジン型式 7M-GTEU型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 2954
ボア×ストローク(mm) 83.0×91.0
圧縮比 8.4:1
最高出力(ps/rpm) 240/5600
最大トルク(kg-m/rpm) 35.0/3200
変速比 1速2.804/2速1.531/3速1.000/4速0.705/後退2.393
最終減速比 3.727
ステアリング ラック&ピニオン式
サスペンション ダブルウイッシュボーン(前後とも)
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 215/60R15
発売当時価格 421.3万円

初出:ハチマルヒーロー 2012年 11月号 vol.19(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1990年式 トヨタ ソアラ 3.0GTリミテッド(全3記事)

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photo : AKIO HIRANO/平野 陽 text : Rino Creative/リノクリエイティブ 

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