今だから語れる80日本カー・オブ・ザ・イヤー 第6回COTY受賞車 ホンダアコード/ビガー

       
ホンダはアコード/ビガーシリーズに新設計の2.0L、1.8L DOHC16バルブエンジンやFF車世界初の4輪ダブルウイッシュボーン・サスペンションを導入し、フルモデルチェンジ。新時代に合わせたワイド&ローのエアロデッキ(3ドア)をアコードに加えた。

 第6回となる85‐86日本カー・オブ・ザ・イヤーは、歴史に残るヴィンテージイヤーだった。排ガス対策が一段落したし、景気もよくなってきていたから各メーカーとも意欲的にニューカーを市場に放っている。

 しかも当時はスポーティーカーやスペシャルティーカーの全盛期だった。だからスタイリッシュで高性能エンジンを積むクーペモデルを積極的に送り込んだ。その多くは今でも記憶にとどめられている。

アコード リア]
シート
アコード 内装

 日本カー・オブ・ザ・イヤーは、大賞を決める前に10台の10ベストカーを選出した。日産とマツダ、そしてホンダは2台ずつノミネートされている。ホンダはブリティッシュレイランドと共同開発したレジェンドが最終10台のなかに踏みとどまった。もう1台は格納式のリトラクタブルヘッドランプを採用し、ワゴン的に使えるエアロデッキを仲間に加えた3代目のアコードと兄弟車のビガーだ。

ビガー
ビガー リア
ビガー 内装


 マツダは日本初のフルタイム4WDとDOHCターボで武装した第2世代のファミリアと兄弟車のフォードレーザー、そして全モデルを13B型ロータリーターボとしたFC3S RX‐7が最終選考に残った。日産で残ったのは「7thスカイライン」と銘打って送り出されたR31スカイラインと6代目のB12サニー(トラッド・サニー)だ。

 残る4台も個性派ばかりだった。トヨタ勢は、FFスペシャルティーカーに生まれ変わったST160系セリカが選ばれている。スバルの4WDスポーツ、アルシオーネもノミネートされた。当時は乗用車も生産していたいすゞは、FF車に転換したジェミニが10台のなかに残っている。軽自動車のなかで1台だけ10ベストカーに名を連ねたのはダイハツのミラクオーレだ。

 どのクルマも強い個性を放ち、メカニズムも凝っていた。ターボやDOHCエンジン搭載車に加え、4WDモデルが多かったのも85‐86日本カー・オブ・ザ・イヤーの特徴と言えるだろう。新しいメカニズムを採用したクルマが一気に増えている。賞取り争いは激戦となったが、そこから抜け出したのはホンダのアコードとビガーだ。

 エクステリアはアメリカ市場を強く意識したデザインで、低いボンネットにリトラクタブルヘッドランプを組み合わせた大胆なスタイリングが目を引いた。アコードに設定されたワゴン感覚の3ドアハッチバック、エアロデッキはロングルーフが生み出す美しいデザインがチャームポイントだ。リアビューも個性的なデザインだ。跳ね上げ式のバックドアはルーフエンドから大きく開く。水平基調のインパネとトリムもクラス水準を超えた高い質感を備えていた。

 また、卓越したメカニズムも識者に感動を与え、高く評価されている。サスペンションはFF車としては世界で初めての4輪ダブルウイッシュボーンだ。ワイドトレッドと相まって軽快なフットワークとしたたかなスタビリティー能力を見せつけた。

 滑らかに回る4気筒エンジンも注目を集めている。デビューしたときのエンジンラインナップは3機種だ。DOHC4バルブエンジンは新設計で、2Lと1.8Lをそろえた。2LのB20A型は電子制御燃料噴射装置のPGM‐FI、1・8LのB18A型はデュアルキャブを採用する。先代から受け継いだ1・8LSOHC3バルブのA18A型もドライバビリティーを向上させた。トランスミッションは5速MTとロックアップ機構付き4速ATを用意している。

 ホンダはカー・オブ・ザ・イヤーの受賞を記念して86年3月に特別限定車を販売した。88年には逆輸入の形で2ドアクーペも加わる。北米と日本を中心に大ヒットを飛ばし、世界のアコードへの階段を駆け上がったのが3代目のアコードと兄弟車のビガーだ。

アコードエアロデッキ
アコードエアロデッキ リアアコードエアロデッキ リアゲート
アコードエアロデッキ 内装


87年式アコード・エアロデッキ2.0Si(E-CA3)
全長×全幅×全高(mm) 4365×1695×1335
ホイールベース(mm) 2600
トレッド前/後(mm) 1480/1475
最低地上高(mm) 160
車両重量(kg) 1130
乗車定員 5名
エンジン型式 B-20A型 
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC
総排気量(cc) 1958
ボア×ストローク(mm) 81.0×95.0
最高出力(ps/rpm) 145/6200
最大トルク(kg-m/rpm) 17.6/4000
ステアリング形式 ラック&ピニオン式
サスペンション前/後 ダブルウイッシュボーン式(前後とも)
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
発売当時価格(東京) 200.7万円

掲載:ハチマルヒーロー 2011年 11月号 vol.16(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Hideaki Kataoka / 片岡秀明

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