自分で組んだエンジンで、最高出力377ps、最大トルク40.0kg‐mを達成|1975年式 日産 フェアレディZ Vol.3|6気筒の挑戦者たち 

このパワーとローダウンスタイルで街乗りを可能としている佐藤さんのS30。スタンスネイション・ジャパンGエディション2013では、旧車部門のアワードを獲得した。

       
【 1975年式 日産 フェアレディZ Vol.3】

 さて、多くのハードルを越えて2001年に完成したインジェクション仕様のL28型改3.1Lエンジンだが、その後も進化を続ける。まず2004年に「ストリートに徹する」という方向性で再び組み直した。

 このときに秘蔵のクロワー製フルカウンタークランクを導入したほか、フライホイールを軽量化。プーリーもドラック向けからATIの軽量タイプに変更するなど、各部に手を入れた。

 その結果、最高出力338ps、最大トルク35.3kg‐mを達成。ちなみに、「インジェクションにした最大のメリットは?」という問いに対して、佐藤さんは「点火」と即答。速さはもちろんだが、細かな制御ができるため、燃費性能も大きく向上したそうだ。



 そして、現在の仕様は2011年に仕上げたもの。7年ぶりにエンジンを下ろす決意をさせたのが、アメリカのダットサンスピリット社がワイセコにオーダーして製作したというL型エンジン用SPL鍛造ピストンの存在だ。

 このピストンを使用して「腰下のみの仕様変更でどこまで違いが出るのか」をポイントにしたという。このピストンに合わせてオートサービス渡辺のI断面コンロッドを導入し、1気筒あたり170gの軽量化を達成。加えて、ECUをモーテックのM84に変更した。これが大きな変更点だが、イスキー製バルブスプリングのセット長および荷重を揃えるなど、細かな配慮も忘れない。こうして組み上げられた11年仕様は最高出力377ps、最大トルク40.0kg‐mにまで高まり、過去最高のフィーリングを手にしたという。

「ひとまずこの仕様で完成形ですね。いろいろなことを試しながら自分で組んだエンジンで、370ps以上、40kg‐mも達成できましたから」と語る佐藤さん。だが、新たなプロジェクトもスタート。今回の車両とは違った方向性を目指しているそうだ。どんな車両なのか……、その完成にも期待したい。



ナルディ・クラシックのφ350mmのステアリングなど【写真13枚】

1975年式 日産 フェアレディZ(S30)
SPECIFICATIONS
●エクステリア:オリジナルフロントスポイラー、クラッシクカーナゴヤ製オーバーフェンダー
●エンジン:L28型改3.1L仕様
●冷却系:グリフィン社製アルミ3層ラジエーター、HPIオイルクーラー
●駆動系:ニスモ6速、APレーシング製クラッチ、R200LSD
●足回り:前後スーパーオーリンズ特注車高調、swiftスプリング(F:10kg/mm、R:9kg/mm)、純正改ターンバックル式ピロ仕様フロントロワアーム、ピロテンションロッド、フルピロ仕様前後スタビリンク、大河内自動車SPLロアアーム
●ブレーキ:前エンドレスM4キャリパー&R34GT-R 2ピースローター、後:エンドレスS2キャリパー&R34GT-R N1ローター
●タイヤ:F:ダンロップ ディレッツァZⅡ スタースペック 235/40R17、R:ダンロップ ZⅡ スタースペック 245/40R17
●ホイール:RAYS TE37V F:17×9.5J/R:17×10J
●内装:ブリッド製カーボンバケットシート2脚、サイトウロールケージ製アルミロールケージ、サベルト製4点式ハーネス、ナルディクラシックφ350mmステアリング、オートメーター製各種メーター

ENGINE SPEC.
●L28型改3.1L仕様
オリジナル形状アルゴンヘッド、L28型N42ブロック、ワイセコ製DatsunSpirit SPLピストン、オートサービス渡辺製I断面コンロッド、クロワーフルカウンタークランク、ニスモメタル、和光製75Sカムシャフト、φ46-38mmバルブ、イスキー製バルブスプリング、チタンバルブリテーナー
●吸排気系:TWM製φ50mmスロットル、1JZ型純正インジェクター、テクニカルサービスササキ製フルチタンSPLマフラー、和光製6-1タコ足、サブライブ製ドライカーボンインダクションボックス、HPIエアクリーナー
●点火系:MSD 7AL2、S130純正最終型対策品デスビ
●制御系:Motec M84

初出:Nostalgic SPEED 2015年 03月号 vol.006(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : AKIO HIRANO/平野 陽

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