「誰もやってないことを試したり、新しいことを考えるのが大好きなんですよね」|1975年式 日産 フェアレディZ Vol.2|6気筒の挑戦者たち 

ドライカーボン製のインダクションボックスは、型から作った特注品だ。オーダーしたのは「サブライブ」で、1mmにも満たない厚さのため、大きさのわりに重さはわずか681g。

       
【 1975年式 日産 フェアレディZ Vol.2】

「誰もやってないことを試したり、新しいことを考えるのが大好きなんですよね。当時は『邪道だ』なんていわれましたけど……」と語る。ちなみに、このS30Zは96年に入手したもので、フルチューンをしてドラッグレースに参加するなどしていたが、2000年末にクランクが折れてエンジンをブロー。ちょうどこの頃、モーテックのM4を格安で入手したこともあり、「誰もやっていない」ことからインジェクション化を決意したのだという。

 とはいえ、前例がないインジェクション仕様への道のりは苦難の連続。スロットルボディはTWM製で、前述のモーテックM4で制御するのだが、配線はできても点火時期が合わずに一発始動とはならず。エンジンが掛かってもアイドリングしないなど、セッティングに試行錯誤を繰り返し、1年間に3度もピストンを溶かしたそうだ。

インダクションボックスに隠れている、知る人ぞ知る和光製6-1の初期モノのタコ足など【写真13枚】

 驚くことに、これらの作業はどこかのショップに持ち込むのではなく、エンジンをバラしてオーバーホールし、組み上げていくのも、コンピューターのセッティングをするのも、佐藤さん自身の手によるものだ。「板金・塗装以外は自分でやってます」という佐藤さん。目で見たもの、手で触ったもの、細かく取ったデータ、失敗も含めた経験のすべてが佐藤さんの知識とノウハウとなっているのだ。

 また、「誰もやっていない」という点では、インジェクション化の際にエンジンルームなどの配線を隠すワイヤータックを取り入れたり、10年以上も前に17インチホイールを履いたりと、今では定番となっているチューニングメニューをいち早く導入してきた。



Vol.3に続く

1975年式 日産 フェアレディZ(全3記事)

1975年式 日産 フェアレディZ(S30)
SPECIFICATIONS
●エクステリア:オリジナルフロントスポイラー、クラッシクカーナゴヤ製オーバーフェンダー
●エンジン:L28型改3.1L仕様
●冷却系:グリフィン社製アルミ3層ラジエーター、HPIオイルクーラー
●駆動系:ニスモ6速、APレーシング製クラッチ、R200LSD
●足回り:前後スーパーオーリンズ特注車高調、swiftスプリング(F:10kg/mm、R:9kg/mm)、純正改ターンバックル式ピロ仕様フロントロワアーム、ピロテンションロッド、フルピロ仕様前後スタビリンク、大河内自動車SPLロアアーム
●ブレーキ:前エンドレスM4キャリパー&R34GT-R 2ピースローター、後:エンドレスS2キャリパー&R34GT-R N1ローター
●タイヤ:F:ダンロップ ディレッツァZⅡ スタースペック 235/40R17、R:ダンロップ ZⅡ スタースペック 245/40R17
●ホイール:RAYS TE37V F:17×9.5J/R:17×10J
●内装:ブリッド製カーボンバケットシート2脚、サイトウロールケージ製アルミロールケージ、サベルト製4点式ハーネス、ナルディクラシックφ350mmステアリング、オートメーター製各種メーター

ENGINE SPEC.
●L28型改3.1L仕様
オリジナル形状アルゴンヘッド、L28型N42ブロック、ワイセコ製DatsunSpirit SPLピストン、オートサービス渡辺製I断面コンロッド、クロワーフルカウンタークランク、ニスモメタル、和光製75Sカムシャフト、φ46-38mmバルブ、イスキー製バルブスプリング、チタンバルブリテーナー
●吸排気系:TWM製φ50mmスロットル、1JZ型純正インジェクター、テクニカルサービスササキ製フルチタンSPLマフラー、和光製6-1タコ足、サブライブ製ドライカーボンインダクションボックス、HPIエアクリーナー
●点火系:MSD 7AL2、S130純正最終型対策品デスビ
●制御系:Motec M84

初出:Nostalgic SPEED 2015年 03月号 vol.006(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : AKIO HIRANO/平野 陽

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