「ベイエリアの日本旧車コミュニティーを盛り上げたい」|ニッポン旧車に魅せられてイベントを開催した人物|1976年式 トヨタ コロナ ワゴン Vol.3

ヴォラセインさんの相方のジャラミーロさんはこのショー当日、三々五々到着する参加車両に対して駐車区域の指示をしながら、会場内を忙しく走り回っていた。

       
【1976年式 トヨタ コロナ ワゴン Vol.3】

年ごとに大きなイベントへ進化

 ミーティングの継続を決心したヴォラセインさんは、翌11年、会場をきちんと準備してミーティングを開催した。3回目となった12年には自分の通う大学の芝生が広がる中庭を会場として借りた。これは「宣伝にもなる」と大学側も快く了承。そしてこのミーティングで、後のイベントパートナー、アイヴァン・ジャラミーロさんに出会ったことが次への転機となった。2人は「ベイエリア(サンフランシスコ圏の通称)の日本旧車コミュニティーを盛り上げたい」という共通の認識で意気投合した。

「05年に『モータリングJスタイル』という日本旧車のイベントがありました。でもそれは2年しか続かず、そのあとはベイエリアではオーナー主体のまとまったイベントがなかったんです。仲間内ではイベント開催を希望する声が出ていました」
 とは、ヴォラセインさんの言葉だ。

 統制されたイベントの実現を目指し、イベント運営団体「ヒストリック・ジャパニーズ・カー・ギャザリング」を組織し、グループ運営であることを明確にして、翌13年のショー「ビンテージ・オートサロン」開催の準備に取りかかった。それに先立って小規模のショーを何度か開催して、参加者の反応を見ながらスタッフのチームワークを練習し、イベントの運営方法を学んでいった。そこから得られた知見によって決断したことの1つ、ハチマル車の参加資格についてこう説明してくれた。

企画運営スタッフと特別ゲストの人たち。左からジャラミーロさん、ヴォラセインさん、ケンとメリーのメリーさんことダイアン・クレイ-ウェスリーさん、ロッキーオート代表の渡辺喜也さん、メイソン・デラップさん。ボランティアの会場スタッフも渡辺さんとハコスカの前で楽しそうに記念撮影。当日の会場スタッフは総勢15名にも及んだ。

「80年代車のオーナーからも熱烈な参加希望の声がありました。会場費を始めとしてお金もかかるので、参加者を増やすことも重要なんです」

 大学ではバイオ工学を学ぶヴォラセインさんは、専門を機械工学に変更しようと考えているそうだ。知り合う人を通じて自身のクルマと改造の知識を豊かにし、さらに旧車社会に楽しみを提供していく。こうして新たに日本旧車に魅了されていくファンを通じ、われらが日本の技術の結晶が今も、遠い地の次の世代に伝えられているのだ。

日本の「ラーメン」もお気に入りのメニューであるヴォラセインさんの自宅のキッチンなど【写真4枚】

ニッポン旧車に魅せられてイベントを開催した人物

1976年式 トヨタ コロナ ワゴン記事一覧(全3記事)

初出:ノスタルジックヒーロー 2013年12月号 Vol.160(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

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text & photo:Masui Hisashi/増井久志

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