市販車の性能がレースに直結! 自然吸気で1L当たり100psオーバーのハイパワー|1991年式 ホンダ シビック SiR・Ⅱ Vol.2|ハチマルレースモデルの超絶技巧

VTEC(可変バルブタイミング・リフト機構)を搭載し、全域でハイパワーを実現したB16A型ユニット。

       
【1991年式 ホンダ シビック SiR・Ⅱ Vol.2】
 
 この中で大きな転機となったのは、やはりB16A型VTECエンジンの登場だ。改造範囲が厳しく規制されるグループAでは、市販車の性能がレースに直結する。その意味で、VTECエンジンはライバルに脅威を与えた。これは低回転域と高回転域用のカムによって、吸排気バルブのタイミングとリフト量を切り替えるシステムで、どの回転域からもリニアなレスポンスと、自然吸気ながらも1L当たり100psオーバーのハイパワーをもたらしたのだ。

 このエンジンを搭載し、グループAの終盤を戦ったのが5代目シビックのEG6。市販車ではSiRがこれに当たり、レースでの活躍もあって大ヒット。SiR・ⅡはLSDやトラクションコントロールがオプション設定できるなど、より走りに振った仕様でファンを魅了し、人気を博した。

 ちなみに1994年から新たにスタートすることとなったJTCCにも、グループA 7年連続チャンピオンという実績を引っさげ、シビックは継続して参戦することになる。しかし、JTCCは2L以下の4ドアというレギュレーション。そこでホンダが用意したのは、シビックの派生車である4ドアセダンのシビックフェリオだ。とはいえ、市販車の同車(SiR)はB16A型の1.6LVTECを搭載している。そのため、鋳造アルミブロック&ヘッドのインテグラ用1.8LのB18C型をベースに、ボア×ストロークを拡大し、1995ccに排気量をアップして対応した。

 JTCCでも主役になるであろうと、大きな期待を持って挑んだが、より改造範囲が広がったこのシリーズでは、グループAのような輝きを見せることはできなかった。

Vol.3、Vol.4に続く

数少ない変更点であるブレーキマスターシリンダーなど【写真5枚】

1991年式 ホンダ シビックSiR・Ⅱ (EG6) 主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 4070×1695×1350
ホイールベース(mm)  2570
トレッド前/後(mm)  1475/1465
車両重量(kg)  1050
エンジン型式  B16A型
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC
総排気量(cc) 1595
ボア×ストローク(mm) 81.0×77.4
圧縮比 10.4:1
最高出力(ps/rpm) 170/7800
最大トルク(kg-m/rpm) 16.0/7300
変速比 1速 3.230 / 2速 2.105 / 3速 1.458 / 4速 1.107 / 5速 0.848 / 後退 3.000
最終減速比 4.400
ステアリング ラック&ピニオン式
サスペンション ダブルウイッシュボーン(前後とも)
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 195/55R15(前後とも)
発売当時価格 162万円

初出:ハチマルヒーロー vol.19 2012年11月号(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1991年式 ホンダ シビック SiR・Ⅱ(全4記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo:MAKOTO INOUE/井上 誠

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