欧州車と対決できる足回り。FF車として初めてフロントにマルチリンクサスペンションを採用|1995年式 日産 プリメーラ オーテックバージョン Vol.2|ハチマルレースモデルの超絶技巧

エンジンは最高出力がノーマルの150psから30psアップの180psまで高められている。

       
【1995年式 日産 プリメーラ オーテックバージョン Vol.2】

 P10プリメーラは1990年に日欧市場で同時発売された。これが示すように、このクルマは多分にヨーロッパを意識して開発されている。実用性と居住性に優れたパッケージングも、流行だったハイテク技術が過剰に投入されていない点も、いかにもヨーロッパ車的だ。

 エンジンはそれまで主力だったCA型ではなく、新開発されたオールアルミ製DOHCのSR18/20型を搭載。SR20型は先にブルーバードに搭載されているが、中身は別だ。プリメーラ用はハイオク仕様で、圧縮比は10.0に高められ、最高出力で10ps、最大トルクで0.5kg‐m高められている。

 そして、最大のポイントは足回りにある。FF車として初めてフロントにマルチリンクサスペンションが採用されたのだ。ここが開発主管の津田靖久さんがもっともこだわった点で、タイヤをつねに路面に対して直角に保つマルチリンクの良さは、欧州車と対等に戦うためには必要不可欠だと判断したそうだ。この恩恵は非常に大きく、FF車としては異例ともいえる優れたハンドリング性能と限界性能、フラットな乗り心地を手にしたのだった。

Vol.3、Vol.4に続く

最高出力がノーマルから30psアップの180psまで高められているエンジンなど【写真5枚】

1995年式 日産 プリメーラ オーテックバージョン(HP10改)主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 4400×1695×1385
ホイールベース(mm) 2550
トレッド前/後(mm) 1470/1460
車両重量(kg) 1190
エンジン型式 SR20DE型
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC
総排気量(cc) 1998
ボア×ストローク(mm) 86.0×86.0
圧縮比 11.5:1
最高出力(ps/rpm) 180/6800
最大トルク(kg-m/rpm) 19.6/5600
変速比 1速3.063/2速1.826/3速1.286/4速0.975/5速0.756/後退3.153
最終減速比 4.375
ステアリング ラック&ピニオン式
サスペンション前/後 マルチリンク/ストラット
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 205/50R15(前後とも)
発売当時価格 269.8万円

初出:ハチマルヒーローvol.19 2012年11月号(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1995年式 日産 プリメーラ オーテックバージョン(全4記事)

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text:RinoCreative/リノクリエイティブ photo:MOTOSUKEFUJII/藤井元輔

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