1987年、グループAトップクラスのディビジョン1で戦うためにトヨタが選んだのは、MA70スープラだ。|1989年式 スープラ 3.0GT ターボA Vol.1|ハチマルレースモデルの超絶技巧

オーナーが学生時代から憧れていたというリトラクタブルヘッドライトは、スープラのアイデンティティーのひとつ。ターボAではウインカーレンズがスモークになる。

       
【 1989年式 スープラ 3.0GT ターボA Vol.1】

サーキットを駆け抜けたハチマル車たち

 グループAから始まりJTCCへと続いた全日本ツーリングカー選手権。その魅力は何といっても、街を走っているクルマがサーキットでバトルを繰り広げるという親近感。グループAにいたっては外観の変更は一切禁止というのだから、ファンはひいきのクルマにより感情移入しやすかった。次々にハイスペックのスポーツモデルが登場した時代ともリンクして、80年代から90年代のレースは空前の盛り上がりを見せたのだった。

 グループAが開幕した当初、トヨタの主戦場はディビジョン3(1.6L以下の最小クラス)だった。1985年はAE86カローラレビンが数多くのチームから参戦。1986年にはその後継としてAE82カローラFXをトムスなど有力チームが投入。両年ともにクラスチャンピオンを獲得するという輝かしい結果を残した。この実績をもとに、トヨタはついに翌年からディビジョン1への進出を決定する。



 1987年、グループAトップクラスのディビジョン1で戦うためにトヨタが選んだのは、MA70スープラだ。3L直列6気筒ターボの7M‐GTEU型を搭載する3.0GTターボをベースにしたグループAマシンは、1987年シリーズ第4戦・菅生で華々しくデビューウィンを飾った。ディビジョン3での勢いそのままに、スープラはディビジョン1でもトップ争いを繰り広げると期待された。しかし、その後は思うように結果がついてこない。表彰台に上がることもあったが、リタイアや下位に沈むことが多かった。そんな状況を打破するためにトヨタが目を付けたのが、「エボリューションモデル」だ。

Vol.2、Vol.3、Vol.4に続く

「ターボAダクト」としておなじみの、インタークーラーにより多くの風を取り込むための専用品であるバンパーダクトなど【写真6枚】


トヨタ スープラ 3.0GT ターボA (MA70) 主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 4630×1745×1300
ホイールベース(mm) 2595
トレッド前/後(mm) 1470/1475
車両重量(kg) 1530
エンジン型式 7M-GTEU型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 2954
ボア×ストローク(mm) 83.0×91.0
圧縮比 8.4:1
最高出力(ps/rpm) 270/5600
最大トルク(kg-m/rpm) 36.5/4400
変速比 1速3.251/2速1.955/3速1.310/4速1.000/5速0.753/後退3.180
最終減速比 3.727
ステアリング ラック&ピニオン式
サスペンション ダブルウイッシュボーン(前後とも)
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 225/50R16
発売当時価格 405.1万円

初出:ハチマルヒーロー vol.19 2012年11月号(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1989年式 スープラ 3.0GT ターボA(全4記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo:AKIO HIRANO/平野 陽

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