あれっ? 前にエンジンがない!「レーシングカー譲りの2ストローク3気筒」|サブロク紳士録|1969年式 スズキ フロンテ360 スーパーデラックス Vol.2

前ヒンジのボンネットを開けるとボンネット内の大部分を占めるガソリンタンク。外観にガソリン給油口などは存在せず、このボンネットを開けて給油を行う。

       
【1969年式 スズキ フロンテ360 スーパーデラックス Vol.2】

 N360に対抗するため、67年4月発売のLC10フロンテ360からは前モデルのフロントエンジン方式をやめ、リアエンジン方式を採用。足元のスペースを確保し、「レーシングカー譲りの2ストローク3気筒」と呼んだ新開発のFEA‐Ⅱ型エンジンを搭載。スターリング・モス(元F1ドライバー)と伊藤光夫(マン島レース覇者)による長時間高速走行テストも行われ、話題性も高いクルマだった。

 フロンテ360のスポーティーな方向性はエクステリアにも表現されている。RR方式を採用したことでロングノーズ&ショートデッキとし、重量バランスを調整。さらに「コークボトルライン」といわれる輸入車のような曲面のシルエットにしたことで、当時の軽自動車らしからぬ高級感を実現した。結果、若者はもちろん、年配者からの支持も得て、大ヒットモデルに。

 さらにフロンテ360のスポーティー性を強く打ち出したフロンテSSを68年11月に販売開始。70年4月のマイナーチェンジ期にはフロンテSSSも登場させ、当時最大の購買層であった20代へとアピールしたのだった。

マツダ車大ファンのオーナーが手に入れたフロンテ360。その理由は?

Vol.3に続く

1969年式 スズキ フロンテ360スーパーデラックス(LC-10)主要諸元
●全長2995mm
●全幅1295mm
●全高1330mm
●ホイールベース1960mm
●最低地上高190mm
●車両重量420kg(スタンダード)
●乗車定員4名
●登坂能力sinθ0.402
●最小回転半径3.9m
●エンジン型式FEA-Ⅱ型
●エンジン種類空冷2サイクル直列3気筒
●総排気量356cc
●ボア×ストローク52×56mm
●圧縮比6.8
●最高出力25ps/5000rpm
●最大トルク3.7kg-m/3200rpm
●変速比1速3.182/2速1.875/3速1.238/4速0.880/後退4.242
●燃料タンク容量23L
●ステアリング形式ラック&ピニオン
●サスペンション前/後コイルスプリングウイッシュボーン独立/コイルスプリングトレーリングアーム独立
●ブレーキ前/後ツーリーディング/リーディングトレーリング
●タイヤ前後とも4.80-10-2P
●発売当時価格37.7万円


初出:ノスタルジックヒーロー 2013年12月号 Vol.160(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

軽量化のため鉄板の薄いフロンテ360の剛性を高めるためのルーフにある溝など【写真11枚】

1969年式 スズキ フロンテ360 スーパーデラックス記事一覧(全3記事)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:TAKASHI AKAMATSU/赤松 孝

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