量産車に搭載できる2ローターREをかたちにできたのは東洋工業だけだった|1969年式 マツダ コスモスポーツ Vol.1

取材車両は69年式で、L10Bの型式を持つ後期型。

       

【1969年式 マツダ コスモスポーツ Vol.1】

 今改めて思う。46年前に東洋工業が世界初の量産車としてコスモスポーツをデビューさせたことが、どれほどの偉業だったか、ということを。

 コスモスポーツの開発が進んでいた1960年代前半、ロータリーエンジン(RE)の開発には、ライセンサーであるNSU、バンケルを中心として、世界で18の企業がかかわっていた。自動車用としては東洋工業以外にダイムラーベンツ、アルファロメオ、ロールスロイス、ポルシェなど欧州の名だたる自動車メーカーが名を連ね、実用化、量産化への研究を行っていた。しかし理想と現実の間で多くのメーカーが開発を断念。最終的に量産車に搭載できる2ローターREをかたちにできたのは、東洋工業だけだったのだ。

 1967年5月、コスモスポーツ発売。10A型と名付けられたREを搭載したクーペモデルは、まさに宇宙船を連想させるフォルムをまとい、地上に降り立った。日本の高度経済成長期であり、人々はコスモスポーツの姿に、日本の限りない繁栄を夢見たのだった。


当時すでに装備されていた、浮き上がり防止の大きなフィンが付くワイパーアームなど【写真5枚】

Vol.2、Vol.3に続く

1969年式 マツダ コスモスポーツ記事一覧(全3記事)

1969年式 マツダ・コスモスポーツ(L10B)主要諸元
全長4130mm
全幅1590mm
全高1165mm
ホイールベース2350mm
トレッド前/後1260/1250mm
最低地上高125mm
室内長870mm
室内幅1300mm
室内高990mm
車両重量960kg
乗車定員2名
最高速度200km/h
登坂能力sinθ0.553
最小回転半径5.2m
エンジン型式10A型
エンジン種類水冷2ローターロータリー
総排気量491cc×2
圧縮比9.4:1
最高出力128ps/7000rpm
最大トルク14.2kg-m/5000rpm
変速比1速3.379/2速2.077/3速1.390/4速1.000/5速0.841/後退3.389
最終減速比4.111
燃料タンク容量57L
ステアリング形式ラック&ピニオン
サスペンション前/後独立懸架コイル/半楕円形板バネ
ブレーキ前/後ディスク/リーディング・トレーリング
タイヤ前後とも155HR15
発売当時価格158万円

初出:ノスタルジックヒーロー Vol.159 2013年10月号(記事中の内容は本誌掲載記事を再編集したものです)

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photo: TAKASHI AKAMATSU/赤松 孝

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