Z31 vs Z32 Vol.2|ビッグマイナーでグランドツーリングからピュアスポーツへ転身|1988年式 日産 フェアレディZ 300ZR

ヘッドライトは、パラレルライジング構造のセミリトラクタブル式。消灯時はボディ面とフラットになっているが、ライトを点灯するとこのようにせり上がる。

       
【Z31 vs Z32 Vol.2】

 83年にデビューした3代目Z31は、初代からのロングノーズ&ショートデッキスタイルを継承しながらも、中身は大きな変革を遂げた。その最大のポイントがエンジンとなる。

 Z31の心臓は直列6気筒のL型に別れを告げ、V型6気筒のVG型に世代交代。2LのVG20ET型と3LのVG30ET型が設定され、ともにSOHCターボながら、後者は230ps(グロス値)という当時の国産最強スペックを誇った。さらにエンジン攻勢は続き、世界初のセラミック製ターボを採用した2L直列6気筒DOHCのRB20DET型を85年に投入している。

 そして大きな転機となるのが、86年のマイナーチェンジ。新型エンジンを搭載するなど、革新的な内容を盛り込んだZ31だったが、スポーツカーというよりはGTカー的なキャラクターだった。それを一新したのがこのときだ。

 最大の特徴は走行性能の強化。トップエンジンとして、最高出力190psを発揮する3LDOHC自然吸気のVG30DE型を搭載する300ZRを新たに迎え入れた。サスペンションも運動性能重視のセッティングに徹底改良され、引き締まった足回りを手にした。加えて、専用の5速MTも開発。これらにより、300ZRは見事にGTカー的なイメージを払拭し、本格スポーツカーに転身したのだ。

 さらに加えて言えば、エクステリアの一新も功を奏した。NDI(日産デザイン・インターナショナル)の手により、ドア、ルーフ、ピラー以外のすべてがリファインされるという大幅なもので、力強く気品のあるデザインとなった。これにより、見た目も性能も本物のスポーツカーとなったのだ。

Vol.3、Vol.4、Vol.5に続く

1988年式 日産 フェアレディZ 300ZR 主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 4605×1725×1310
ホイールベース(mm) 2520
トレッド前/後(mm) 1455/1475 
車両重量(kg) 1490
エンジン型式 VG30DE型
エンジン種類 水冷V型6気筒DOHC
総排気量(cc) 2960
ボア×ストローク(mm) 87.0×83.0
圧縮比 10.0:1
最高出力(ps/rpm) 190/6000
最大トルク(kg-m/rpm) 25.0/4400
変速比 1速2.458/2速1.458/3速1.000
4速0.686/後退2.182
最終減速比 4.111
ステアリング ラック&ピニオン式
サスペンション前/後 ストラット式/セミトレーリングアーム式
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 215/60R15(前後とも)
発売当時価格 382.1万円


1990年式 日産 フェアレディZ 300ZXツインターボ 主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 4310×1790×1245
ホイールベース(mm) 2450
トレッド前/後(mm) 1495/1535
車両重量(kg) 1520
エンジン型式 VG30DETT型
エンジン種類 水冷V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量(cc) 2960
ボア×ストローク(mm) 87.0×83.0
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps/rpm) 280/6400
最大トルク(kg-m/rpm) 39.6/3600
変速比 1速2.784/2速1.544/3速1.000
4速0.694/後退2.275
最終減速比 3.692
ステアリング ラック&ピニオン式
サスペンション マルチリンク式(前後とも)
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 225/50R16(前後とも)
発売当時価格 410万円

初出:ハチマルヒーロー vol.18 2012年7月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

先にレパードが積み、Z31にはエアクリーナーやマフラーの見直しにより、最高出力はレパードよりも5ps向上したVG30DE型など【写真10枚】

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MAKOTO INOUE/井上 誠 

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