Z31 vs Z32 Vol.1|革新の80年代か成熟の90年代か|いつの時代も美しく速い国産伝統のスポーツカー フェアレディZ|1988年式 日産 フェアレディZ 300ZR|1990年式 日産 フェアレディZ 300ZXツインターボ

Z31の300ZRはVG30DE型、Z32の300ZXツインターボはVG30DETT型を搭載する。

       
【Z31 vs Z32 Vol.1】

 Zらしさとは何か。モデルチェンジを重ねるたびに、「やっぱりZが一番!」、「これはZじゃない」と、ファンは一喜一憂する。肯定的、批判的な意見が飛び交うのは、熱狂的なファンが多いスポーツカーにとっての宿命であり、人気のバロメーターだ。Zもその例に漏れず、初代以来40年以上もの間、つねにZらしさが求められてきた。

 初代S30が誕生したのは、ミスターKこと片山豊さんが北米日産の舵を取っていた69年。北米市場の販売を拡大するイメージリーダーとして開発された。かくしてS30は北米や日本で爆発的に人気を集め、一代でスポーツカーとしての地位を確立した。このS30の成功があったからこそ、現在までその血は受け継がれているが、その半面、初代の影響力が大きすぎるのも確かだ。

 それが顕著に表れたのが3代目Z31と4代目のZ32だ。Z31はデザイン的には初代と2代目の面影を色濃く残すが、ボディは大型化し、ラグジュアリー志向に転換。一方のZ32はロングノーズ&ショートデッキのスタイルも捨て去り、全く違うクルマに生まれ変わっている。この変貌はファンにとって大きな衝撃だった。この根底にあるのが、初代の影響力の強さだ。

 さて、Z31とZ32は「Zらしくないのか」。その答えは「ノー」。スタイルや方向性は初代から大きく変化しているのは事実だが、Zらしさはそこではない。Zらしさとは、日産の強力なイメージリーダーとなることであり、スポーツカーであることなのだ。スタイルや方向性は時代によって変化する。しかし、〝Zらしさ〟という思想はまったくブレていない。Z31もZ32も、日産を象徴するカリスマなのだ。

Vol.2、Vol.3、Vol.4、Vol.5に続く

1988年式 日産 フェアレディZ 300ZR 主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 4605×1725×1310
ホイールベース(mm) 2520
トレッド前/後(mm) 1455/1475 
車両重量(kg) 1490
エンジン型式 VG30DE型
エンジン種類 水冷V型6気筒DOHC
総排気量(cc) 2960
ボア×ストローク(mm) 87.0×83.0
圧縮比 10.0:1
最高出力(ps/rpm) 190/6000
最大トルク(kg-m/rpm) 25.0/4400
変速比 1速2.458/2速1.458/3速1.000
4速0.686/後退2.182
最終減速比 4.111
ステアリング ラック&ピニオン式
サスペンション前/後 ストラット式/セミトレーリングアーム式
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 215/60R15(前後とも)
発売当時価格 382.1万円


1990年式 日産 フェアレディZ 300ZXツインターボ 主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 4310×1790×1245
ホイールベース(mm) 2450
トレッド前/後(mm) 1495/1535
車両重量(kg) 1520
エンジン型式 VG30DETT型
エンジン種類 水冷V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量(cc) 2960
ボア×ストローク(mm) 87.0×83.0
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps/rpm) 280/6400
最大トルク(kg-m/rpm) 39.6/3600
変速比 1速2.784/2速1.544/3速1.000
4速0.694/後退2.275
最終減速比 3.692
ステアリング ラック&ピニオン式
サスペンション マルチリンク式(前後とも)
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 225/50R16(前後とも)
発売当時価格 410万円

初出:ハチマルヒーロー vol.18 2012年7月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

Z31の300ZRが搭載するVG30DE型、Z32の300ZXツインターボが搭載するVG30DETT型など【写真5枚】

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MAKOTO INOUE/井上 誠 

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