ショーカーに生まれ変わった観音クラウン|1960年式 トヨペット クラウン セダン Vol.3|エンジンスワップでよみがえったクラシックビークルたち

       
かくして完成したこの「観音V8」は、日本に運ばれてナンバーを取得し、ムーンアイズの象徴的な存在となった。アメリカのショーカーと比べても遜色のないクオリティで大きな注目を集めたが、その後ある個人オーナーの手に渡った後、その噂を聞かなくなっていた。そして今、この「観音V8」は徳島のトヨタディーラー「アトラツイン」に展示されている。昨年徳島トヨタが70周年を迎えるにあたり、記念事業の一環として購入したのだという。

 購入後、車高をわずかに上げ、オーナメント類などを追加した以外は当時の姿を保っており、その美しいたたずまいは変わらず健在だ。それにしてもトヨタディーラーがこのクラウンを所有しているというのも痛快な話だが、社長によると、当初は展示車としてこのクラウンを買うかLF-Aを買うか迷ったそうだ。結局「面白味」を優先してクラウンを購入したそうだが、これは結果的にこの「改造車」のクラウンに、LF-A並みかそれ以上の高い価値があることの証明でもあるのだ。

SPECIFICATIONS
60年式 トヨペット クラウン セダン
●エンジン:GM製ZZ3 350ci V8、アルミヘッド、ムーンアイズ製レーシングカム、モーテックM4制御
●吸気系:ムーンアイズ製クロスラムインテーク & 独立スロットルインジェクションシステム
●排気系:ADF製エキマニ、フローマスター製マフラー
●駆動系:TH350 ATミッション、フォード製9インチデフ
●足まわり:(F)マスタングIIフロントエンド、TCIエンジニアリング製チューブラーAアーム & ドロップスピンドル、スタビライザー、KYBワンオフサスペンション (R)MACSスプリング、Rancho製ショック
●ブレーキ:(F)カマロ用ディスク (R)フォード用ドラム
●ホイール:ハリブランド15インチ
●タイヤ:(F)ナンカンCX668  145R15 (R)デルタGT 235/60R15
●インテリア:ムーンアイズ製6連ゲージ、ヴィンテージエア製エアコン、Ididit製ステアリングコラム、シート & ドアパネル張り替え


カムカバーから伸びているのはブローバイガスを抜くためのブリーザー。昔から使われているホットロッド用の定番パーツで、これもムーンアイズ製だ。


純正のダッシュ形状を生かしながらも、メーターパネルを新たに製作してムーンアイズ製の6連ゲージをセット。ステアリングコラムはIdidit製のコラムシフト付き。ステアリングはレカラ製のバンジョーだ。


エアコンはヴィンテージエア製。吹き出し口はダッシュ下部にセット。



前後のシートはツイード地で張り替えられている。


ビレット製のペダルを装着している。


エンジンを制御するMoTeC M4はダッシュ内に隠されている。



燃料タンクをトランク内に移設していることも低車高実現に貢献している要素のひとつ。


低い車高を実現するために、エキゾーストパイプはフレームの外側に沿って引き回され、マフラー出口も可能な限りフレームに寄せてセットされた。排気口を下向きにセットしているのがホットロッド流だ。フレーム自体もノッチ加工を施し、リアアクスルをかさ上げして車体下部を可能な限りフラットにしている。


トヨタディーラーがこのクラウンを所有しているというのも痛快な話だが、社長によると、当初は展示車としてこのクラウンを買うかLF–Aを買うか迷ったそうだ。結局「面白味」を優先してクラウンを購入したそうだが、これは結果的にこの「改造車」のクラウンに、LF-A並みかそれ以上の高い価値があることの証明でもあるのだ。

掲載:ノスタルジックスピード 2014年11月 Vol.005 (記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

TEXT:TAKAYOSHI SUZUKI/鈴木貴義  PHOTO:AKIO HIRANO/平野 陽

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