A14型からZ16に載せ替え、DOHC化!|絶滅危惧種のA11バイオレットの各部をアップグレード|1980年式日産バイオレットGL Vol.2

       
長瀬肇さんは、知る人ぞ知る、「長瀬発動機」という競技車両の製作とメンテナンスを行うファクトリーの代表で、チューニングに関してプロ中のプロ。そんな長瀬さんのバイオレットとの出合いから聞いてみた。

「2006年11月に、知人のところにエンジンだけ取られて捨てられる運命だったバイオレットがあると聞いて見に行ったところ、ボディの程度が抜群だったので、引き取ってきました。その後ボディはそのまま、エンジンを載せて公認を取り、足回りやブレーキ、駆動系にも手を入れて、楽しく走れるように仕上げてきました」とのこと。

 注目は搭載したエンジン。長瀬さんのA11バイオレットは、もともとはA14型エンジンが搭載されていたが、エンジンは抜き取られていた。そこで、PA11に搭載されたSOHCのZ16型エンジンを探し、それにラルゴやプレサージュに搭載されたKA24型のDOHCヘッドをドッキング。

 もちろん、そのまま載せただけではなく、φ89mmのピストンの組み合わせで排気量を1940ccとし、カムはオリジナルプロフィールで削り出し製作。吸気はソレックス44PHHを組み合わせ、185ps/7500rpmを達成。ワンオフのZ16型改DOHCエンジンとし、エンジンルームに収めている。


約8年前に製作したKA24型DOHCヘッドが組み合わされたZ16型エンジンを搭載。ボアφ89mm×ストローク78mmの1940cc。カムは、IN312度(11mmリフト)、EX272度(11mmリフト)、圧縮比11.5で、185ps/7500rpmを発揮。


「長瀬」の文字入りヘッドカバーは、知人によるワンオフ。


キャブレタエーはソレックス44PHHで、ワンオフのインマニを介して装着。リンケージ類も現物合わせで製作している。  試行錯誤の結果、キャブはアウターベンチュリーなしでセッティングOKで、高回転域までストレスなく吹け上がる。


狭いスペースに収まっているタコ足はスチール製のφ42.8mm。排気効率を考えた等長で、長瀬さんによるワンオフだ。


ラジエーターはS14シルビアターボ用の1層を流用。アルミ製のシュラウドを設け、電動ファンの吸い込み効率をアップさせている



点火系は、永井電子(ウルトラ)のMSDを使い、2個のコイルで同時点火としている。

ストラットタワーバーは、本来のボディ剛性アップのほか、長瀬さんのアイデアでブレーキマスターバックと接続することで、負圧タンクとしても使っている。パイプの両サイドをふさいでおり、容量的には450cc程度を確保。バキューム圧が増えたことで、ブレーキのフィーリングがよくなったそうだ。



掲載:ノスタルジックスピード 2014年11月 Vol.005 (記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

PHOTO:RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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