シルエットフォーミュラのDNAを持つJSSのスーパーヒーロー、スカイライン|日産 スカイライン JSS スペック DR30 Vol.1

現役当時は、前後に大型のバンパースポイラーを装着していたという印象が強かったが、リアスポイラーも含めて改めて見直すとメーカーのオリジナルデザインに思えてしまうからおもしろいものだ。

       
【日産 スカイライン JSS スペック DR30 Vol.1】

1980年代は日本のモータースポーツが一気に息を吹き返した時代で、いろいろなカテゴリーのレースが新たに考え出されていた。いまでは常識のワンメイクレースも、実はこの時代に盛んになったもので、入門クラスから準プロクラスのレースまで、幅広い層を構成してモータースポーツの普及に役立っていた。

 こうしたいくつかあるレースの中に、国産スポーツモデルの外観を大きくモディファイし、それなりにパワーのあるエンジンと組み合わせ、ダイナミックな走りでファンを獲得しようという試みのレースがあった。

 それがJSS(ジャパン・スーパースポーツ・セダン)レースで、その名のとおりスカイライン、シルビア、RX‐7、AE86など、当時の日本を代表するスポーツモデルを参戦車両として考えたものだった。カテゴリー的にはF2/GCを頂点とするスプリント系レースに組み入れられ、プロからアマチュアまでが対象となっていた。

 このJSSレースは1984年に始まっているが、当時のレース環境を振り返ってみると、JSSレースの持つ性格がはっきりと見えてくる。

 生産車両をベースとするレースは、入門編の富士フレッシュマンを除けば、始まったばかりのメーカー系ワンメイクレースがいくつかあった程度で、メジャー(名称はマイナーだが)なところでは、すでに生産が完了したサニーを中心とする富士マイナーツーリング(TS)以外は、これといったレースがない状態だった。

 こうして振り返ってみると、生産車ベースのレースは意外と少なく、さらにグランドツーリングカー系の車両が参戦できるレースがほとんどなかったことに気付かされる。


ボンネットに設けられたエアアウトレット。インタークーラーとラジエーターを冷却した空気がここから吸い出される。


キャビン内に張り巡らされたロールケージ。しかしピラーやルーフとの接合部はなく、ボルト結合による組み立て式となっている。1991年まで使われた車両だが、このロールケージ形式はそれよりはるかに前のものだ。


タコメーターを中央に、その両脇に油温、排気温、油圧、水温の各メーターを配置。メーターパネルはDR30のオリジナルを使用しているが、JSSだとこの部分は自由なはず。むしろこうしたあたりにグループA車両の名残を感じる。


掲載:ハチマルヒーロー Vol.17 2012年 1月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

DR30のオリジナルを使用しているメーターパネルなど【写真5枚】

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text:Akihiko Ouchi/大内明彦 photo : takashi Ogasawara/小笠原貴士 

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