「オレが商売を始めた頃にさんざん乗ったクルマだよ」と懐かしんで話しかけられる1台|1973年式 トヨタ パブリカバン 1000 デラックス Vol.3

機能性とコストダウンを第一に考えたシンプルなデザインのコクピット。計器類やラジオも、使いやすさを重視して設計されている。また、中央に配置されたヒーターは、内外気切り替え式を採用。

       
【1973年式 トヨタ パブリカバン 1000 デラックス Vol.3】

 2代目のKP30系型パブリカ、その2ドアバンを所有する井上幸助さん。

 井上さんは夫婦そろって旧車が趣味で、もう1台、ルノーキャトルを所有している。これまで、キャトルで旧車のイベントを見学しにいくことはあっても、自らエントリーすることはなかったが、パブリカバンを所有してからは、フラットで広々とした荷室に荷物を満載にして、地元はもちろん県外のイベントにも参加するようになったという。

 クルマを譲り受けた2年後に、前オーナーは亡くなったが、パブリカバンは今も元気に井上さんと一緒にイベントに参加している。

「大事にしなきゃなあと思います。イベントに行くと前オーナーと同じくらいの年齢の方が『オレが商売を始めた頃にさんざん乗ったクルマだよ』と懐かしんで話しかけてくれます。そんな時に受け継いでよかったなあと思います。できるだけ乗り続けてあげたいです」と井上さん。

 大衆=パブリックを略した造語の車名通り、ビジネスやレジャーライフで大衆に親しまれていたパブリカバン。営業車として役目を終えた今も大切に乗り続けられていることに、前オーナーも喜んでいるに違いない。


2代目パブリカの他に初代パブリカスターレットにも搭載されている、カローラのエンジンをベースに新設計した水冷直列4気筒2K型エンジンなど【写真5枚】

1973年式 トヨタ パブリカバン 1000 デラックス記事一覧(全3記事)

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1973年式 トヨタ パブリカバン 1000 デラックス(KP36V-D)主要諸元
●全長3705mm
●全幅1460mm
●全高1410mm
●ホイールベース2160mm
●トレッド前/後1235/1200mm
●最低地上高170mm
●室内幅1215mm
●室内高855mm
●車両重量700kg
●乗車定員2(5)名
●登坂能力tanθ0.34
●最小回転半径4.4m
●エンジン型式2K型
●エンジン種類水冷直列4気筒OHV
●総排気量993cc
●ボア×ストローク72×61mm
●圧縮比9.0 : 1
●最高出力58ps/6000rpm
●最大トルク7.9kg-m/4000rpm
●変速比1速3.684/2速2.050/3速1.383/4速1.000/後退4.316
●最終減速比4.444
●燃料タンク容量30L
●ステアリング形式ウオーム・セクタローラ
●サスペンション前/後 独立懸架コイルばね/非対称半楕円板ばね
●ブレーキ前/後 ツーリーディング/リーディングトレーリング
●タイヤ前/5.00-12-4PR/後5.00-12-4PRまたは5.00-12-6PR
●発売当時価格43.95万円

掲載:ノスタルジックヒーロー 2013年8月号 Vol.158(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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