半世紀以上前にこの造形が生まれた奇跡。ファン羨望の世界に誇るスポーツカー|1967年式 トヨタ 2000GT Vol.1

今見ても美しく半世紀前のクルマとは思えない。

       
【1967年式 トヨタ 2000 GT Vol.1】

1962年10月に開催された第9回全日本自動車ショーの会場で披露されたパブリカスポーツ。曲面によって構成された印象的なデザインを持ち、庶民にも手の届くスポーツカーとして、クルマ好きたちの心をわしづかみにした。この時の「実験車」は、結果として1965年4月のトヨタスポーツ800の発売につながる。

 そしてトヨタ2000GTである。時をほぼ同じくして、1965年8月に開発コード280Aを持つ試作1号車が完成した。トヨタの故・野崎さんがデザイナーとしてまとめた外観は、後の市販車とほぼ同じフォルムだったが、細かな部分で試作車ゆえの違い、たとえばワイパーが3本だったり、ポップアップするヘッドライト全体がカバーで覆われている、などがあった。同年10月に開催された第12回東京モーターショーで「トヨタ2000GT」の車名で会場に展示。これが世の中にお披露目された最初の機会となった。

 パブリカスポーツからトヨタスポーツ800、そしてトヨタ2000GTへ。スポーツカーに盛り込まれたトヨタデザインの原点は、半世紀近く前に醸成されたことは間違いない。社内デザイナーが完成させた奇跡と言ってもいいであろう流麗なフォルムは、日本が世界に誇るスポーツカーとして、今なお多くのクルマ好きにとって羨望の1台となっている。

1967年式 トヨタ 2000GT Vol.2、Vol.3に続く


テールランプまわりの梨地のガーニッシュは本来メッキ品だが、オーナーが薄いガンメタリックで塗装してある。左右フェンダーの端にあるリフレクターは、後期型では拡大される。


マフラーはオーナーが加工、製作したもの。キャブトンの出口はオリジナルをそのまま使用するが、タイコ自体は他車の社外品を2個並列にして加工。機能と見栄えを見事に両立させた。


オーナーの手によって、メンテナンスが行き届いたエンジンルーム。ラジエーターは前面に付くオリジナルの押し込みファンを残したまま、後面に電動の引き出しファンを追加して、オーバーヒート対策を施した。


トヨタ2000GTの特徴である左右フェンダーにあるハッチ。右側はバッテリーが鎮座する。


七宝焼の技法を取り入れた、おなじみの三角形のエンブレムが左右のフェンダーに付く。なおフェンダーミラーは外側のメッキの見栄えが悪くなったので、ボディ同色で自家塗装してある。

1967年式 トヨタ 2000 GT(MF10)主要諸元
●全長4175mm
●全幅1600mm
●全高1160mm
●ホイールベース2330mm
●トレッド前後とも1300mm
●最低地上高155mm
●室内長720mm
●室内幅1430mm
●室内高950mm
●車両重量1120kg
●乗車定員2名
●最高速度220km/h
●登坂能力sinθ0.567
●最小回転半径5.0m
●エンジン型式3M型
●エンジン種類水冷直列6気筒DOHC
●総排気量1988cc
●ボア×ストローク75.0×75.0mm
●圧縮比8.4:1
●最高出力150ps/6600rpm
●最大トルク18.0kg-m/5000rpm
●燃料供給装置ソレックス40PHH×3
●変速比1速3.143/2速1.636/3速1.179/4速1.000/5速0.844/後退3.238
●最終減速比4.375
●燃料タンク容量60L
●ステアリング形式ラック&ピニオン
●サスペンション前後ともダブルウイッシュボーン・コイル
●ブレーキ前後ともディスク
●タイヤ前後とも165HR15
●発売当時価格238万円

掲載:ノスタルジックヒーロー 2013年6月号 Vol.157(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Ikkai Muranisi/村西一海

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