初代セリカがきっかけで生まれた「トヨタの流通システムも変化させた」あのシステム|1975年式 トヨタ セリカ1600 GTV Vol.2

このセリカのようにLBと同じ形状の後期型マスクをLB顔、前期型マスクをダルマ顔と区別して呼ぶ場合もある。

       
【1975年式 トヨタ セリカ1600 GTV Vol.2】

 初代セリカのエクステリアデザイン担当であった畔柳俊雄さんは、その後カリーナ、コロナマークⅡ、ソアラなどをデザインした人物で、まさに「トヨタの曲面美」を作り上げたデザイナーだ。
 有能なスタッフと統括する長谷川さんの息がぴったりと合っていたことがセリカの開発・販売を成功させ、その後スペシャリティーカーというジャンルを日本に根付かせることにつながったといえる。

 また、セリカ誕生はトヨタの流通システムも変化させた。セリカはトヨタとして初めて車両構成をユーザーが選べるようにしたクルマ。エンジン、外装、内装の組み合わせを自在に選ぶことができた。「フルチョイスシステム」と呼ばれたこの仕組みは、オーナーにとっては喜ばしいものだが、それまでの大量生産方式では対応しきれなくなり、コンピューターを使ったデイリーオーダーエントリー(即日注文登録)を開発し、対応。これは1980年代から主に飲食店で採用され、現在では当たり前となったものだが、セリカがきっかけだったのだ。

 セリカは毎年のようにマイナーチェンジを重ね、1972年には1600GTVをラインナップ。偏平ラジアルタイヤにソレックスツインキャブレターを標準装備し、サーキット走行を目的としたレースベースモデルだった。

Vol.3に続く


GTV純正ホイールには、GTにオプション設定されていたステンレス製ホイールリングを装着。


リアガーニッシュの中央には、GTVのエンブレムが収まる。


ストライプのエンド部分にはユニコーン(!?)が図案化。


220km/hまで刻まれたスピードメーターが特別なクルマであることを示す。


内装はオーナーの西澤さんの手によって一度全て取り外されクリーニング。天井は張り替えられた。シートはGTV専用で、ニットテープヤーンを採用。


GTとGTV専用の革巻きシフトノブ。

1975年式 トヨタセリカ1600 GTV(TA22-MQXR)主要諸元
●全長4165mm
●全幅1600mm
●全高1300mm
●ホイールベース2425mm
●トレッド前/後1300/1305mm
●最低地上高165mm
●室内長1625mm
●室内幅1330mm
●室内高1060mm
●車両重量965kg
●乗車定員5名
●登坂能力tanθ0.58
●最小回転半径5.0m
●エンジン型式2T-GR型
●エンジン種類水冷直列4気筒DOHC
●総排気量1588cc
●ボア×ストローク85.0×70.0mm
●圧縮比8.8:1
●最高出力110ps/6000rpm
●最大トルク14.0kg-m/4800rpm
●変速比1速3.587/2速2.022/3速1.384/4速1.000/5速0.861/後退3.484
●燃料タンク容量50L
●ステアリング形式コラプシブル
●サスペンション前/後マクファーソン・ストラット式コイルスプリング/4リンク・ラテラルロッド付コイルスプリング
●ブレーキ前/後ディスク/ドラム
●タイヤ前後とも185/70HR13
●発売当時価格106.3万円

掲載:ノスタルジックヒーロー 2013年6月号 Vol.157(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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