「コロナとカローラの間にもう1車種加える」スペシャリティーカーを意識したデザイン|1975年式 トヨタ セリカ1600 GTV Vol.1

TA22セリカのクーペモデルは、ダルマのヒゲように見える丸いバンパー形状から俗にダルマセリカと呼ばれる。

       
【1975年式 トヨタ セリカ1600 GTV Vol.1】

 TA22セリカが発売となったのは1970年12月。1966年に発売されたカローラが作り上げた大衆車市場が拡大し、本格的なモータリゼーションの波が日本に広がっていた時期だった。E10カローラ開発時の主査で、セリカ開発時にはトヨタの全乗用車を統括する製品企画室副室長になっていた長谷川龍雄さんは、セリカ誕生の経緯として「コロナとカローラの間にもう1車種加えることで大衆車市場をさらに拡大できると考えた」とノスタルジックヒーローの1997年4月号のインタビューで答えており、その開発がラインナップの拡充にあったことは明らかだ。

 しかし、同じようなファミリーカーを揃えるだけでは販売につながらない。そこで長谷川さんは、セリカを当時北米で人気を博していたフォードマスタングのようなスペシャリティーカーとして開発をスタートさせた。その開発の中心に据えたのがデザイン。北米で流行していたコークボトルラインを採用し、それまでの慣習であった別体型バンパーをボディと一体化し、現代にも通用するようなデザインを完成させた。

1975年式 トヨタ セリカ1600 GTV Vol.2、Vol.3に続く


室内の空気を循環させるルーフサイドベンチレーター。前期型の横縞形状からブロック形状になった後期型。


エンブレムは前期型の筆記体から活字体に、飛龍のマークは中期モデル以降盾付きに変更。


セリカは、コクピットの色や計器盤の配置は7種類から選択可能。GTVは専用の計器盤が用意され、ステアリングも専用の本革巻き。エアコンレスの場合、通風口はブーストベンチレーションとなる。


オーナーの西澤さんによってオーバーホールされた、2連装ミクニ製ソレックスキャブレター。


エンジンルーム内の型式プレートにはレギュラーガソリン仕様の2T-GR型であることが記されている。

1975年式 トヨタセリカ1600 GTV(TA22-MQXR)主要諸元
●全長4165mm
●全幅1600mm
●全高1300mm
●ホイールベース2425mm
●トレッド前/後1300/1305mm
●最低地上高165mm
●室内長1625mm
●室内幅1330mm
●室内高1060mm
●車両重量965kg
●乗車定員5名
●登坂能力tanθ0.58
●最小回転半径5.0m
●エンジン型式2T-GR型
●エンジン種類水冷直列4気筒DOHC
●総排気量1588cc
●ボア×ストローク85.0×70.0mm
●圧縮比8.8:1
●最高出力110ps/6000rpm
●最大トルク14.0kg-m/4800rpm
●変速比1速3.587/2速2.022/3速1.384/4速1.000/5速0.861/後退3.484
●燃料タンク容量50L
●ステアリング形式コラプシブル
●サスペンション前/後マクファーソン・ストラット式コイルスプリング/4リンク・ラテラルロッド付コイルスプリング
●ブレーキ前/後ディスク/ドラム
●タイヤ前後とも185/70HR13
●発売当時価格106.3万円

掲載:ノスタルジックヒーロー 2013年6月号 Vol.157(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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