自分の目にはキレイに見えたボディもプロの目にはごまかしがきかず、パーツの欠損も|1972年式 トヨタスプリンタートレノ Vol.3

前期トレノの特徴と言えばこのグリル。生産期間が短く、販売台数も少なかっただけに中古パーツも滅多に出てこない貴重品。

       
【1972年式 トヨタスプリンタートレノ Vol.3】

「せっかく手に入れたクルマなんだから最後までやり遂げろ」

 かつて自動車専門学校でお世話になったTE27を引き受けたものの、忙しくてレストアが進まなかった堀米さん。父親の後押しを受けて堀米さんは動き出した。

 時間がない現実にかわりないため、旧車専門ショップに依頼することを決意した。実は、技術的な面でもプロの力を借りたいという考えもあったのだ。

 ところが、レストアを受けてくれるショップがなかなかない。よそで途中まで行った作業内容の車体は、どうなっているかわからないため断られてしまうケースが多いのだ。

 そんな中、快く引き受けてくれたショップがあった。横浜に店を構える全国的に名の知れた旧車専門店、ビンテージカーヨシノだ。

 そうしてビンテージカーヨシノに持ち込まれたTE27トレノだが、社会人になりたての堀米さんに潤沢な予算などない。そこで「とりあえず自走可能なまで仕上げてほしい」とリクエスト。でも、これはある意味、中途半端な仕上げとも言えるもの。

 専門教育を受けた堀米さんもそれは十分に理解しており、全体的に安く直そうとするより、エンジン、シャシー、ボディとそれぞれを順番に直していくという考えをショップのメカニックに説明。作業は開始されたのだった。

 自分の目にはキレイに見えたボディもプロの目にはごまかしがきかず、パーツの欠損も多数あった。次々発見される問題点をクリアし本来の姿を取り戻していった。

Vol.4へ続く


ラジエーターはノーマルリフレッシュ。グリルを留めるネジ部にもワッシャーが入る。細かいところに気を使う質の高いレストア。


TRUENOのダイキャスト製サイドエンブレムも付いている。TE27トレノはモディファイされることが多いため、こういうパーツが残っていたのは幸運。


燃料ポンプも信頼性を重視し中古の純正品ではなく、社外のキャブレター用電磁ポンプに交換済み。


純正オプション設定されていたAM/FMラジオ。もちろんちゃんと聞くことが可能で、スピーカーの調子も良いため、音楽はラジオで聞くことが多い。

1972年式 トヨタスプリンタートレノ 主要諸元
●全長3945mm
●全幅1595mm
●全高1335mm
●ホイールベース2335mm
●トレッド前/後1270/1295mm
●車重855kg
●乗車定員5名
●エンジン型式2T-G型
●排気量1588cc
●圧縮比9.8:1
●ボア×ストローク85×70mm
●燃料供給ミツバ電磁ポンプ
●気化器ソレックス40φ×2+スポーツエアクリーナー
●排気系ワンオフEXマニ+ワンオフマフラー
●出力115ps/6400rpm
●最大トルク14.5kg-m/5200rpm
●サスペンション型式前/後マクファーソンストラット・コイルスプリング/半楕円リーフリジッド
●ブレーキ前/後ディスク/リーディングトレーリング
●タイヤ/ホイール ケンダ185/60-13/RSワタナベ13インチ

ノスタルジックヒーロー 2013年2月号 Vol.156(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Masayuki Fukada/深田昌之

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