教材として使われていた27トレノを引き取ったクルマ好きの24歳! その2年をかけたレストアの方法とは!?|1972年式 トヨタスプリンタートレノ Vol.1

仕上がったクルマを購入したのではなく、寝ていたクルマを復活させた。だから愛着も強い。

       
【1972年式 トヨタスプリンタートレノ Vol.1】

1972年3月から8月の短い期間のみ販売されていたTE27トレノ前期モデル。あまりに早いマイナーチェンジの理由は、おとなしめなグリルデザインの評判が今ひとつだったからという逸話がある。実際に実物を見ると「スプリンター」というブランドイメージに合った、軽快かつ押し出しの強いデザインだと思うのだが……。

 久しぶりにTE27トレノを見たので、ついつい余計なことを書いてしまったが、本編はグリルが主役の記事ではない。その稀少な前期TE27トレノの横に立つオーナー、堀米拓郎さんがこのページの主役だ。

 堀米さんは旧車乗りとしてはとても若い。年齢は24歳。「若者のクルマ離れ」が問題視され、そのやり玉に上げられてしまう世代だが、彼のようにクルマが好きな人も存在する。

 堀米さんは、学生時代に東京にある自動車専門学校に通っていた。そこは通常の自動車整備だけでなく、モータースポーツやレストアの道に進む人材の育成にも力を入れている専門色の強い学校だった。

 学校の授業でレストア用教材として使われていたのがこのTE27トレノで、教材としての役目を終えたあとは、堀米さんの恩師である、木内先生が自宅で保管していた。

 堀米さんは当時、モータースポーツ科を専攻して、入門フォーミュラカーであるFJでレースに参戦。それだけに車歴もスイフトスポーツ、ラリー仕様のランサーエボⅥと、スポーツ系車種を乗り継いでいた。


 ランサーエボⅥに乗っていたある日、違和感が湧いた。どんなに走り込んでもクルマに乗せられているような感覚……。こうじゃない、もっと楽しく乗りたいという気持ちになった。

 そんな時に思い出したのがTE27トレノ。もともと旧車への憧れもあったため乗りたい気持ちは急激に膨らむ。

 そこで木内先生に譲ってもらえないかと交渉。当初、譲るつもりはなかったようだが「堀米くんになら」ということで快く譲ってくれたのだった。

Vol.2、Vol.3、Vol.4へ続く


お父さんもこのクルマのファン。それゆえに堀米さんが会社に行っている間、父親がTE27トレノを乗り回すこともあるらしい。


1.75L仕様で組み直してあるエンジン。授業で学生が組んだものかも知れないとのこと。


キャブはソレックスφ40mm。もともと程度が良かったが、ネジ類含めてリフレッシュ。まるで新品のようにキレイに。


室内はほぼオリジナル。ダッシュボードやドア内張り、天井もキレイ。稀少な純正ステアリングも状態が良い。

1972年式 トヨタスプリンタートレノ 主要諸元
●全長3945mm
●全幅1595mm
●全高1335mm
●ホイールベース2335mm
●トレッド前/後1270/1295mm
●車重855kg
●乗車定員5名
●エンジン型式2T-G型
●排気量1588cc
●圧縮比9.8:1
●ボア×ストローク85×70mm
●燃料供給ミツバ電磁ポンプ
●気化器ソレックス40φ×2+スポーツエアクリーナー
●排気系ワンオフEXマニ+ワンオフマフラー
●出力115ps/6400rpm
●最大トルク14.5kg-m/5200rpm
●サスペンション型式前/後マクファーソンストラット・コイルスプリング/半楕円リーフリジッド
●ブレーキ前/後ディスク/リーディングトレーリング
●タイヤ/ホイール ケンダ185/60-13/RSワタナベ13インチ

ノスタルジックヒーロー 2013年2月号 Vol.156(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Masayuki Fukada/深田昌之

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