【ターボ Vol.1|日産そしてホンダ!】1980年代、ターボエンジンは年を追うごとに進化していった|ハチマル・テクノロジー

430セドリック&グロリアのデビューで始まった量産ターボ車のヒストリー。

       
【ターボ Vol.1】ハチマルテクノロジーに迫る

新世代のエコユニットとしてヨーロッパから発信され、注目を集めているのがダウンサイジングターボである。これは小排気量エンジンにターボチャージャーなどの過給機を組み合わせ、出力を高めるとともに低燃費も実現する手法のことだ。小排気量エンジンは機械損失が少ないし、燃焼効率も高められるから地球温暖化の原因となるCO2なども減らすことができる。

 だが、このムーブメントの火付け役となったのは、実はヨーロッパではない。最初に発信したのは、1980年代の日本だ。ターボに代表される過給機は、航空機で発達し、自動車ではレーシングカーに積まれて発展を遂げた。記念すべき日本初の量産型ターボは、日産の430系セドリックとグロリアに積まれてデビューしたL20ET型直列6気筒SOHCターボである。

 ここから数年の間に日本は世界屈指のターボ王国にのしあがり、フルラインナップを完成させた。技術革新も一気に進んだ。まずターボの弱点であるノッキングを封じるためにノックコントロール装置が加えられ、徐々に圧縮比も高められる。ワンテンポ遅れてターボ効果が表れる「ドッカン・ターボ」の特性も解消されていく。

 タービンホイールやコンプレッサーを軽くするために、タービンホイールには耐熱性に優れたファインセラミックスを用い、コンプレッサーにはポリエステル系の樹脂に炭素素材を混ぜて加工した。また、タービンシャフトにボールベアリングを使用するターボエンジンも出現する。この分野でもリーダーシップを取ったのは日産だ。

 日本で初めてV型6気筒エンジンにターボを装着した日産は、VG20ET型エンジンに画期的な「ジェットターボ」を採用した。吹き出し口に可動式の可変フラップを設けて特性を変えるのである。2つのバルブ開閉機構を備えたツインスクロールターボやホンダがレジェンドのV6エンジンに採用した「ウイングターボ」も、このジェットターボの発展型だ。

土曜公開のVol.2に続く


日本のターボ車の幕開けは、このクルマからだった。


1979年10月、430セドリック&グロリアに初めてターボチャージャー付きエンジン搭載モデルが登場した。「省資源と低燃費」というお題目を掲げてのスタートだった。


80年代半ばには、日産はターボエンジン搭載車を次々に発売。


Y30セドリック&グロリアに採用された「ジェットターボ」は、電子制御の可変ノズルを持つターボによって、発進加速や高速域で胸のすくような走りを実現した。


ターボと言われれば、ホンダも黙っちゃいない。1989年に新開発の「ウイングターボ」を採用したレジェンドを発売。


低回転域から高回転域まで、ジェントルな加速感がウリとうたっているターボエンジン。決して「ドッカ〜ン」ではない……。

掲載:ハチマルヒーロー vol.17 2012年5月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Hideaki Kataoka / 片岡秀明

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