タコメーターは1万2000回転まで! 実は64ps以上出ていた!? 軽自動車界に名を残したスーパーミニ|スズキ アルトワークス フルタイム4WD RS-R Vol.1

あらゆるモータースポーツシーンで華々しい結果を残した。

       

【スズキ アルトワークス フルタイム4WD RS-R Vol.1】

 初代アルトワークスのデビューは、じつにセンセーショナルなものだった。何しろ、当時のスポーツモデル御用達の“ツインカム”と“ターボ”という2つのメカニズムをドッキングさせ、なおかつ空冷式インタークーラーも装着するリトルモンスターだったのだから。しかも、エンジン本体は2輪で名を馳せるスズキらしく、9500rpmからレッドゾーンという超高回転仕様。加えて、クラス初の水冷式オイルクーラーや白金スパークプラグなども新たに採用してきた。

 スズキの技術を結集したF5A型エンジンの最高出力は、カタログ数値こそ64psだが、実際にはそのスペックを優に上回るパワーを発揮していたと言われている。そして、その圧倒的なパワーが引き金となり、現在も行われている軽自動車に対する最高出力の自主規制が設けられたのだ。

 アルトワークスは、もちろんサスペンションや駆動系も、そのハイパワーに見合ったものにチューニングされた。専用のセッティングが施されたサスペンションには、クラス初の13インチ65偏平タイヤと異形断面リム採用の2ピースアルミホイールがセットされ、駆動系にはこちらもクラス初となる等長ドライブシャフトがおごられた。さらに、最上級のRS‐Rには自動的に前後輪に最適なトルクを配分するビスカスカップリング式フルタイム4WDを採用するなど、そのメカニズムは当時の軽自動車を大きく超越したものだったのである。

スズキ アルトワークス フルタイム4WD RS-R Vol.2 に続く


「R」の文字が一際強調されたワークスRS-Rのロゴが誇らしげに輝く。


大きなルーフスポイラーとバンパー一体式リアスカートが特徴。オーナーは、スポーツ系タイヤを履きたかったということから、適正サイズのあるパナスポーツのフォーミュラ・ワンを選択したという。


4WDのRS-Rの場合型式は「CC72V」だが、FFのRS-XやRS-Sでは「CA72V」となる。わずか543ccの排気量のクルマながら、インタークーラー付ツインカムターボエンジン+フルタイム4WDというハイスペックを誇った。


大型の2連メーターを採用するが、タコメーターはなんと12000rpmフルスケール。ちなみに前期型ではレッドの文字盤だった。


左右非対称のシートは、抜群のコンディションを保持していた。後期型はブラック/グレーの色使いだが、前期型ではブラック/ピンクとなる。ただし「前期のピンクは……ちょっと無理ですね」とオーナーの小林さん。


スズキ アルトワークス フルタイム4WD RS-R(CC72V)主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 3195×1395×1405
ホイールベース(mm) 2175
トレッド前/後(mm) 1230/1200
車両重量(kg) 650
エンジン型式 F5A
エンジン種類 水冷直列3気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 543
ボア×ストローク(mm) 62.0×60.0
圧縮比 8.0:1
最高出力(ps/rpm) 64/7500
最大トルク(kg-m/rpm) 7.3/4000
変速比 1速3.818/2速2.277/3速1.521/
4速1.000/5速0.903/後退4.000
最終減速比 5.133
ステアリング形式 ラック&ピニオン式
サスペンション 前ストラット式/ 後 I.T.L.(アイソレーテッド・トレーリングリンク)式
ブレーキ 前ディスク/後リーディングトレーディング
タイヤ 145/65R13(前後とも)
発売当時価格 109万円

掲載:ハチマルヒーロー vol.17 2012年5月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)



全ての【写真6枚】を見る

スズキ アルトワークス フルタイム4WD RS-R記事一覧(全2記事)

関連記事:アルト記事一覧

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

RECOMMENDED

RELATED

RANKING