FFのパワーユニットを逆置き!? 発想の転換でミッドシップスポーツカーを安価に!|トヨタ MR2 Gリミテッド スーパーチャージャー vol.2

マイナーチェンジでバンパーがスラント形状に変更。これに伴い、全長が若干延びた。この個体はウインカーレンズをクリアタイプに変更。

       
【トヨタ MR2 Gリミテッド スーパーチャージャー vol.2】

横置きエンジンFF車のパワーユニットを運転席後部に移設することで、安価なミッドシップを造り上げたMR2。
 ベースはFFのE80系カローラで、エンジンは1.6Lの4A‐G型を搭載(3A‐L型もあり)。ツインカムのスポーツ系パワーユニットだが、130psという手頃なパワーで、足回りのセッティングもハードにしすぎなかったことが功を奏し、一般的なドライバーも扱えるクルマに仕立てた。とはいえ、車重1tを切るMR2の走りは痛快で、クルマ好きをとりこにした。

 そして、デビューから2年後の1986年に、トヨタはミッドシップの特性がファンに広く周知したころを見計らい、よりスパルタンな過給機付きエンジン4A‐GZ型を投入した。スーパーチャージャーを装着した4A‐GZ型は、最高出力で15 ps、最大トルクで4.2kg‐mも向上。これに合わせ、フロントにパフォーマンスロッドを追加するなど足回りを強化し、戦闘力をアップ。車重は1tを超えたが、走りの楽しさが倍増したことはいうまでもなく、人気も実力も1段レベルアップした。

 背中でエンジンの鼓動を感じながら走る痛快なファン・トゥ・ドライブをもたらしたMR2は、国内初かつ唯一無二のミッドシップとして大ヒット。歴史にその名を刻んだ。生産終了から30年以上たった今でも多くのファンを魅了し、チューニングベースとしてもクルマ好きを楽しませている。

 今回取材したオーナーもそんな痛快なMR2に惚れた一人だ。

 まだ20代半ばという若さの田川晃朗さんは、もともとスポーツカーには興味がなく、AW11の前はトヨタのbBに乗っていた。しかし、友人たちがスポーツカーに乗っていたこともあり、徐々に興味を持ち始め、梅澤春人さんが描く人気漫画「カウンタック」でAW11のことを知った。さらに実車を見に行き試乗をして、あまりの楽しさに即購入を決意したそうだ。

 そしてAW11のオーナーとなった田川さん。TBSでエンジンや足回りなどをチューニングするが、半年あまりで事故を起こしてしまい、クルマは廃車に。現在乗っているのは2台目で、エンジンを含めた多くのパーツは1台目から移植している。

「燃費は良くないし、雨漏りもするし……良い部分を探すほうが難しいけど、AW11に乗っている時間ほど楽しいことはないです。クルマに乗る楽しさを教えてくれたAW11が大好き」と言うほど、このクルマに魅了されている。


AW11で走りを楽しむファンはいまだに多い。この個体は、埼玉県入間市のMR2を得意とするチューニングショップ「TBS」で、各部をブラッシュアップしている。


ボディ右側のエアダクト。後期型は写真の1段型でボディから盛り上がっているが、前期型は2段型でダクト部分はボディ内側に入り込んでいる。


純正サイズは前後とも185/65R14だが、撮影車両は前195/50R15、後205/50R15の異径に変更。ホイールはレイズのボルクレーシングRE30で前6.5J+38、後7J+43。


エンジン自体はノーマルだが、TBSのチューニングメニュー「ステージⅠ」でパワーアップを図っている。ブルーのプラグコードはNGK製。クスコのタワーバーでリアを強化する。


TBSの「ステージⅠ」メニューでは、スーパーチャージャーのプーリーと併せてクランクプーリーも交換。これによりブースト圧はノーマルの0.4kgf/㎠から約1.0kgf/㎠に高められている。計測はしていないが、最高出力200psオーバーは確実とのこと。


運転席のみレカロのSP-Gに交換するとともに、スポーツ走行時に体をしっかりとホールドする4点式シートベルトも装着。また、ボディ補強のために、標準ルーフ用のクロモリ製4点式ロールケージをTバールーフ用に加工溶接して装着している。


運転席左側に水温、油温、油圧、右側にブースト圧のデフィ製メーターを装着し、アドバンスコントロールユニットで管理する。


シフトノブはRAZOの本革(RA103)に交換。握りやすく、操作がしやすくなったそうだ。

MR2 Gリミテッド スーパーチャージャー(AW11)主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 3950×1665×1250
ホイールベース(mm) 2320
トレッド前/後(mm) 1440/1440
車両重量(kg) 1100
エンジン型式 4A-GZE型
エンジン種類 直列4気筒DOHCスーパーチャージャー
総排気量(cc) 1587
ボア×ストローク(mm) 81.0×77.0
圧縮比 8.0:1
最高出力(ps/rpm) 145/6400
最大トルク(kg-m/rpm) 19.0/4400
変速比 1速3.545/2速1.904/3速1.310/
4速0.969/5速0.815/後退3.250
最終減速比 3.941
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション ストラット式(前後とも)
ブレーキ 前ベンチレーテッドディスク/後ディスク
タイヤ 185/60R14(前後とも)
発売当時価格 225.0万円

掲載:ハチマルヒーロー vol.17 2012年5月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Makoto Inoue/井上 誠

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