ショーモデルのデザインそのままに販売された今でも色あせないデザイン|いすゞ ピアッツァXEハンドリング・バイ・ロータス Vol.2

今も新しさを感じるデザインだ。

       
【いすゞピアッツァXEハンドリング・バイ・ロータス Vol.2】

117クーペに変わるいすゞの顔として期待されたピアッツァ。
 しかし、多くの人の期待をよそにピアッツァの販売は発売直後の1981年6月に記録した2212台を頂点に低迷。その理由は前世代のG200型DOHCエンジン搭載によるパワー不足だ。それを改善するために投入されたのが、4ZC1型インタークーラー付きターボエンジンだった。

 また、販売へのてこ入れも同時に行われ、ドイツのイルムシャー社のチューニングによる新たな付加で、ピアッツァの価値を上げることに成功。さらにXEターボへの新たなラインナップとして、ロータス社との提携で造られたハンドリング・バイ・ロータスが追加された。特にロータス社との協力関係は元F1ドライバーのJ・マイルズが参加するなど本格的なものとなり、ロータスチューンと呼ぶにふさわしいものへと仕上がった。しかし、その後も販売不振を払拭できなかったピアッツァは、1990年で生産中止となった。

 ピアッツァ登場のあとにも、未来のデザインをうたったクルマは数多く登場したが、現在においても新しさを感じるハチマル車はピアッツァだけだろう。

 そんなピアッツァのオーナーであり、今回取材をした中村公彦さんもそんな新しさを感じる車両に惚れ込み購入した。車歴を聞くとピアッツァのみ、しかもこのクルマが初めてのクルマで、他のクルマを所有したことがないという。

 横浜在住の中村さんはクルマを所有する必要性がなく、結婚してもクルマのない生活だった。しかし、子供が生まれるといろいろと必要なケースが増え、購入を検討することに。

 しかし長年クルマと縁のなかった中村さん。いざ買おうと思っても何を買っていいのか分からない。そんな中、立ち寄った中古車ショップにピアッツァがあった。

 ピアッツァ発売当時の先進的なデザインのイメージが現在も同じままであったことに驚いた中村さん。どうせ買うなら何年経っても変わらずカッコイイクルマに乗りたいと考え購入。

 しかし最初はトラブルだらけ。それを1つ1つ直していくうちに手放せないクルマになっていったのだ。



発売から30年経過した今もなお先進性、デザイン性が失われない。


フラッシュサーフェスボディを端的に表すフロント形状。安全装備以外のほとんどがくさび形のノーズのシルエットを崩すことなく収まる。


3点式のハイマウンテッド・ストップランプ付きリアスポイラー。これもハンドリング・バイ・ロータス独自のパーツ。Cピラーの下にはピアッツァ全グレードに付いているシンボルマーク。


1974年から1991年まで使用されていたいすゞの社章がフロントグリル中央に。


サイドサポートが付いたスポーツシートはピアッツァ標準のもの。背にはランバーサポートが装備されていて、長距離ドライブに効果を発揮。


アイシン製4速AT。実はこれが、アイシンによるトヨタグループ以外への初めての例となった4速AT販売事例である。


過給器には、エレクトロニックコントロールが装備され、コンピューター制御で過給圧を最適化。燃料噴射も電子制御化されている。

1990年式 いすゞピアッツァXEハンドリングバイロータス(JR120T)
全長×全幅×全高(mm) 4385×1675×1300
ホイールベース(mm) 2440
トレッド(mm) 1355/1380
車両重量(kg) 1270
エンジン型式 4ZC1型
エンジン種類 水冷直列4気筒SOHCターボ
総排気量(cc) 1994
ボア×ストローク(mm) 88.0×82.0
圧縮比 8.2:1
最高出力(ps/rpm) 150/5400
最大トルク(㎏-m/rpm) 23.0/3400
変速比 1速2.826/2速1.493/3速1.000
4速0.688/後退2.703
最終減速比 3.909
燃料タンク(L) 58
ステアリング形式 ラック&ピニオン
サスペンション 前ダブルウイッシュボーン/後5リンク
ブレーキ 前後ともベンチレーテッドディスク
タイヤ 前後とも195/60R14 85H
発売当時価格 237万

掲載:ハチマルヒーロー vol.17 2012年5月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Makoto Inoue/井上 誠

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