【完成編03】単なる低さではない! このフォルムで思い切り走れる最強のS30Z|遂に完成へ!|ノブちゃんS30Z製作記 Vol.22

2012年12月、車両のフルストリップからプロジェクトが始動。約3年半の歳月をかけて完成した片岡S30Z(通称ノブちゃんS30Z)だ。

       
【ノブちゃんS30Z製作記 Vol.22 <完成編03>】

 片岡さんのS30Zが搭載する元祖TC24は、このエンジンを知り尽くした「トミタク」こと富松拓也さんの手によるもの。当時の仕様を再現しつつ、細部を最新の技術とパーツでアップデートした最強スペックを誇る。この元祖TC24の完成まで約5カ月。アクセルをほんのすこし踏み込んだだけで、タコメーターの針が10000rpmに跳ね上がる驚異的なレスポンスに後押しされるように、その後も片岡さんはS30Zの完成度を高めつづけた。ホイールの買い直しはその最たるものだ。

「あらかじめ用意していたホイールのサイズが、実際に装着するとかなり甘めだったんです。スペーサーでオフセットさせることも考えましたが、この伝説のエンジンに、そんなごまかしのセッティングは似合わない。特注じゃないと手に入らないホイールで、かなり痛い出費だったけど、心に迷いはありませんでした」。

 この片岡S30Zよりも低いZは、もしかしたらいるかもしれない。しかし、これほどクールに、走りを楽しめるシャコタン仕様は他にはないはずだ。


カスタムの方向性を決定づけた元祖TC24ユニット。最新の技術とパーツでアップデートが図られた最強仕様だ。すさまじいレスポンスはまさに異次元!


カスタムは、搭載する元祖TC24-B1のパフォーマンスを存分に楽しむべく仕上げたという走り志向のアプローチ。


キャブレターはイタリア製の当時モノ、ウエーバー55DC1/SP。インマニはφ50mmの拡大版で、キャブとの間に挟むインシュレーターもそれに合わせ内径を拡大する繊細さだ。ファンネルはトミタク仕様となる80mmのロングタイプ。フューエルパイプをキャブの下側を通すことで、見た目をスッキリさせているところにも注目!


ミッションは日産スポーツコーナークロスミッション「オプション3」。ベルハウジング及びバックプレートはFJ20型用を流用する。クラッチはOS技研のトミタク特注版となるフルカーボンツインだ。


デフは取り付けマウントを逆転させることで、マフラーとのクリアランスをさらにかせぐ作戦。LSDにはOS技研のスーパーロックLSD(トミタク仕様)が組み込まれている。


マフラーも長瀬発動機によるワンオフ。路面とのクリアランスをかせぐため、デフの上側を通す配管で設計したシャコタン仕様のスペシャルなエキゾーストシステム。取り付けにはかなりの苦労と時間を要している。


スピードメーターは純正を流用。タコメーター及び追加メーターはDefiのアドバンスRSメーターに交換。また、夜間の視認性に難がある純正のスピードメーターには、LEDのスポットライトで文字盤を照射することで光量不足をカバーしている。


センターコンソールのパネルはアルミで自作。ほぼ計画通りに、燃料計やスイッチ類、オーディオ等を機能的にレイアウト。シフトノブは特注したお気に入りのチタン品。油圧式に変更されたパーキングブレーキのレバーなどもキレイにレイアウトされている。イベントでも注目の的なのは納得。



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ノブちゃんS30Z製作記記事一覧(全23記事 完成編 4記事)


1975年式 日産フェアレディZ(S30)主要諸元
■エクステリア:フルレストア(全はく離)、バイブラントレッド(R35GT-R純正色)全塗装、メインフレーム&フロアパネル底上げ(80mm)、フロント&リアフェンダーアーチ上げ(約30mm)、フルスポット増し、フロントフェンダー内補強パイプ追加、メーンフレーム補強プレート追加、リアバンパー下部スムージング、RSスタート製スチールフロント&リアバンパー/フロント&リアスポイラー/240ZG復刻版オーバーフェンダー(脱着可能)、前期ワンテール仕様、IPF製ヘッドライト、ハイ・ロー切り替えH4LEDライトキット、純正熱線無しタイプリアガラス

■エンジン:トミタクSPL元祖TC24 【ヘッド】OS技研製TC24-B1、修正面研、ポート拡大、カムホルダー製作(当時モノと同等)、310度カム(SQ処理:カムリフト9.4mm/バルブリフト10.8mm)、ロッカーアーム製作(レバー比変更:ロストワックス製法による鋳造+タングステンカーバイト溶射+自作研磨機による精密研磨)、ステムトップ上部にタペットシムを製作しシム調整式に変更、OS技研製バルブ(INφ35mm/EXφ30.5mm)&バルブスプリング(セット荷重22kgf:フルで60kgf)、リン青銅バルブガイド(ポート内カット)、バルブシート(ミラー社製シートカッターで三面同時加工、IN0.8mm/45度、EX1.2mm/45度)、バルブタイミング(IN100度/EX100度)【ブロック】日産L28型(F54)、上面水穴追加加工、オイルライン逆転加工(EXカムシャフト、ロッカーアーム潤滑)、OS技研製φ89mm鍛造ピストン(ラビリンスリング加工:ピストンピン径φ21mm)、カーニングハム製チタンコンロッド(372g)、VG30DETT型用コンロッドメタル、日産LY型用オプションクランク(ストローク79mm)、クランクキャップボルト製作(高強度ボルト)、圧縮比13.6、亀有製ヘッドガスケット加工、OS技研製TC24-B1Z専用大容量アルミオイルパン(バッフル付き)、オイルストレーナー製作、スターロード製ハイパーリダクションセルモーター/ブラックオルタネーター(プーリー製作:取り付け部オフセット)、ダンバープーリー製作、エンジンブラケット加工&補強、OS技研製アルミオイルフィラーキャップ、ワンオフオイルキャッチタンク

■吸排気系:ウエーバー55DCOS/P(当時のイタリー製:アイドリング調整部分を加工)、トミタクファンネル(80mm)、インシュレーター加工(インマニ内径φ51mmに合わせてテーパー加工)、長瀬発動機製φ50mm等長スレンレス6-1タコ足/φ80mmステンレスシングルマフラー(デフ上レイアウト)

■点火系:マロリー製デスビ、MSD製イグナイター(6AL)&ブラスターSSコイル、NGK製プラグ(D7EVX)、永井電子特注プラグコード

■冷却系:スターロード製大容量3層アルミラジエーター、スパル製電動ファン、セトラブ製オイルクーラー(横置き)

■燃料系:ボッシュ製インジェクション用燃料ポンプ(E30M3用)、ASW製燃料レギュレーター、燃料吹き出し防止用タンク追加、燃料フィルター、燃料配管引き直し、ワンオフデリバリーパイプ

■駆動系:OS技研製特注トミタクオフセットフルカーボンツインプレートクラッチ(フライホイール重量2.6㎏)、日産オプション3ミッション、FJ20型用ベルハウジング、亀有製強化ピボット、バックランプスイッチ位置変更、OS技研製スーパーロックLSD(R180特注)

■サスペンション:スターロード製車高調キット(ストローク、減衰力、バネレートを特注(F14㎏/mm/R10㎏/mm)、ナギサオート製ピロロワアーム(フロント&リア)/タイロッド&タイロッドエンド、フロントネガキャンアダプター(23mm)、OS技研製オフセットプロアッパーマウント(リアのみ)

■ブレーキ:(F)ブレンボ4ポットキャリパー+φ300mm2ピースローター (R)S15ターボ用キャリパー&ディスク、スターロード製大容量マスターバッグ、ブレーキ配管引き直し、サイドブレーキ油圧化

■インテリア:リスタード製カーボンダッシュボード&ドア内張り、デフィアドバンスRS(11000rpmタコメーター、水温、油温、油圧)、オートメーター製燃圧計、momo製プロトタイプ、クルーズ製ステアリングボルト、チタンシフトノブ、クスコ製8点式ロールケージ(クロモリ製)、ブリッド製ゾディア(左右)、タカタ製ハーネス、消火器、アルミ製フロアパネル製作

■タイヤ:ナンカンNS2(F)195/50R15 (R)205/50R15

■ホイール:RSワタナベ (マグネシウム:ブラウンニッシュ)(F)15×10.5J -32 (R)15×11.0 -38、サンダーボルトジャパンチタンホイールナット


掲載:Nostalgic SPEED vol.012 2017年 03月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Ryotarow Shimizu/清水良太郎

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