【完成編02】フロア80mm底上げで得た究極のシャコタンフォルム|遂に完成へ!|ノブちゃんS30Z製作記 Vol.21

走りを意識しつつも、あくまでもルックスは旧車然とした仕上がりを目指す。抑制の効いた好感度なカスタム。旧車初挑戦とはとても思えない。この車高の低さは、80㎜のフロア上げを実施したからこそ実現したスタイル。通常のS30Zではありえない低さだ。

       

【ノブちゃんS30Z製作記 Vol.21 <完成編02>】

 スタイリングの要となった「フロア80mm底上げ」という大技も、実際のところは、知らずに購入してしまった「車高が下げにくいボディ構造の後期型」で、なんとか満足のいくレベルにまで落とせるように考えた苦肉の策。当時は片岡さん自身、ここまで価値のある生きた改造になるとは思ってもいなかったらしい。ボディ全体へのスポット増ししかり、足まわりのフルピロ化しかり、ブレーキチューンしかり、高度なメニューの大半は、当初は想像もしていなかったものばかり。

 そんな行き当たりばったりだった片岡さんのクルマ作りの方向性をはっきりさせてくれたのくれたのが、パワーユニットの「元祖TC24‐B1」だ。このエンジンの搭載を決意したことで、それまで曖昧模糊としていた片岡流のカスタムの道筋が明確化する。

「エンジンも当初考えていたのはライトなL型チューン程度。ゆったり快適に乗れればそれでOKみたいな気でいました。それが一転、名機『TC24』ですから、それまでとは意気込みが大きく変わりました。どうせならこのエンジンの性能を存分に味わいたいと考えるようになったんです」

Vol.22へ続く


クーリング系は最も神経を使ったメニューのひとつ。ラジエーターはスターロード製の大容量3層アルミタイプをチョイス。電動ファンはスバル製。当然これらの取り付け作業はすべて片岡親子によるDIYでこなしている。


ダッシュボートと同じくカーボンを張り込んだドアの内張り。あや織りのグランドリッチカーボンを使用したハードなルックスの中にも高級感が漂う仕上がり。


リアのバネレートは10kg/mmを組み込み、トラクション重視のセッティングとしている。ブレーキはS15シルビアターボ用のキャリパーを使いディスク化されている。


ロールバーはクスコの8点支持タイプ。クロモリ鋼を使用した軽量タイプで重量増を抑えている。肩側のハーネスは、背面のサイドバーに固定。消火器も装備。


トランクルームに設置されているのは燃料の噴き出しを防止するための専用タンク。エア抜き程度の小細工では間に合わないらしい。


MSDのイグナイターは、グローブボックスの収納ボックスの奥にセット。


グローブボックスは、開閉をマグネット式に変更して使い勝手を向上させている。


シートはブリッドのフルバケ、ZODIA、ハーネスはタカタ。助手席まできっちりコーディネイト。シートステーはワンオフ、シートレール取り付け部のフロアパネルは板厚をアップしてある。

全ての【写真8枚】を見る

ノブちゃんS30Z製作記記事一覧(全23記事 完成編 4記事)


1975年式 日産フェアレディZ(S30)主要諸元
■エクステリア:フルレストア(全はく離)、バイブラントレッド(R35GT-R純正色)全塗装、メインフレーム&フロアパネル底上げ(80mm)、フロント&リアフェンダーアーチ上げ(約30mm)、フルスポット増し、フロントフェンダー内補強パイプ追加、メーンフレーム補強プレート追加、リアバンパー下部スムージング、RSスタート製スチールフロント&リアバンパー/フロント&リアスポイラー/240ZG復刻版オーバーフェンダー(脱着可能)、前期ワンテール仕様、IPF製ヘッドライト、ハイ・ロー切り替えH4LEDライトキット、純正熱線無しタイプリアガラス

■エンジン:トミタクSPL元祖TC24 【ヘッド】OS技研製TC24-B1、修正面研、ポート拡大、カムホルダー製作(当時モノと同等)、310度カム(SQ処理:カムリフト9.4mm/バルブリフト10.8mm)、ロッカーアーム製作(レバー比変更:ロストワックス製法による鋳造+タングステンカーバイト溶射+自作研磨機による精密研磨)、ステムトップ上部にタペットシムを製作しシム調整式に変更、OS技研製バルブ(INφ35mm/EXφ30.5mm)&バルブスプリング(セット荷重22kgf:フルで60kgf)、リン青銅バルブガイド(ポート内カット)、バルブシート(ミラー社製シートカッターで三面同時加工、IN0.8mm/45度、EX1.2mm/45度)、バルブタイミング(IN100度/EX100度)【ブロック】日産L28型(F54)、上面水穴追加加工、オイルライン逆転加工(EXカムシャフト、ロッカーアーム潤滑)、OS技研製φ89mm鍛造ピストン(ラビリンスリング加工:ピストンピン径φ21mm)、カーニングハム製チタンコンロッド(372g)、VG30DETT型用コンロッドメタル、日産LY型用オプションクランク(ストローク79mm)、クランクキャップボルト製作(高強度ボルト)、圧縮比13.6、亀有製ヘッドガスケット加工、OS技研製TC24-B1Z専用大容量アルミオイルパン(バッフル付き)、オイルストレーナー製作、スターロード製ハイパーリダクションセルモーター/ブラックオルタネーター(プーリー製作:取り付け部オフセット)、ダンバープーリー製作、エンジンブラケット加工&補強、OS技研製アルミオイルフィラーキャップ、ワンオフオイルキャッチタンク

■吸排気系:ウエーバー55DCOS/P(当時のイタリー製:アイドリング調整部分を加工)、トミタクファンネル(80mm)、インシュレーター加工(インマニ内径φ51mmに合わせてテーパー加工)、長瀬発動機製φ50mm等長スレンレス6-1タコ足/φ80mmステンレスシングルマフラー(デフ上レイアウト)

■点火系:マロリー製デスビ、MSD製イグナイター(6AL)&ブラスターSSコイル、NGK製プラグ(D7EVX)、永井電子特注プラグコード

■冷却系:スターロード製大容量3層アルミラジエーター、スパル製電動ファン、セトラブ製オイルクーラー(横置き)

■燃料系:ボッシュ製インジェクション用燃料ポンプ(E30M3用)、ASW製燃料レギュレーター、燃料吹き出し防止用タンク追加、燃料フィルター、燃料配管引き直し、ワンオフデリバリーパイプ

■駆動系:OS技研製特注トミタクオフセットフルカーボンツインプレートクラッチ(フライホイール重量2.6㎏)、日産オプション3ミッション、FJ20型用ベルハウジング、亀有製強化ピボット、バックランプスイッチ位置変更、OS技研製スーパーロックLSD(R180特注)

■サスペンション:スターロード製車高調キット(ストローク、減衰力、バネレートを特注(F14㎏/mm/R10㎏/mm)、ナギサオート製ピロロワアーム(フロント&リア)/タイロッド&タイロッドエンド、フロントネガキャンアダプター(23mm)、OS技研製オフセットプロアッパーマウント(リアのみ)

■ブレーキ:(F)ブレンボ4ポットキャリパー+φ300mm2ピースローター (R)S15ターボ用キャリパー&ディスク、スターロード製大容量マスターバッグ、ブレーキ配管引き直し、サイドブレーキ油圧化

■インテリア:リスタード製カーボンダッシュボード&ドア内張り、デフィアドバンスRS(11000rpmタコメーター、水温、油温、油圧)、オートメーター製燃圧計、momo製プロトタイプ、クルーズ製ステアリングボルト、チタンシフトノブ、クスコ製8点式ロールケージ(クロモリ製)、ブリッド製ゾディア(左右)、タカタ製ハーネス、消火器、アルミ製フロアパネル製作

■タイヤ:ナンカンNS2(F)195/50R15 (R)205/50R15

■ホイール:RSワタナベ (マグネシウム:ブラウンニッシュ)(F)15×10.5J -32 (R)15×11.0 -38、サンダーボルトジャパンチタンホイールナット

掲載:Nostalgic SPEED vol.012 2017年 03月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Ryotarow Shimizu/清水良太郎

RECOMMENDED

RELATED

RANKING