RSターボのイメージカラーとなる赤/黒ツートンを先行採用し登場|スカイライン スーパーシルエット KDR30 Vol.2

なんでもありと思われているシルエットフォーミュラのボディワークだが「オリジナルのボディパネルを使うこと」という1文が規則書に記されている。このためスペースフレームを基本骨格にオリジナルパネル(の一部)を張り付ける製作手法が採られていた。

【スカイライン スーパーシルエット KDR30 Vol.2】

1979年に始まるグループ5によるスーパーシルエットレースは、バイオレット(柳田)、シルビア(星野)の順で参戦を果たし、1981年になって戦力の見直しが検討された段階で、新たな車両の製作が決定する。このきっかけとなったのが長谷見の参入で、宣伝効果も見越した結果、スカイラインを使用車種とすることが決まったものだ。

 車両製作はノバエンジニアリング、カウル製作はムーンクラフトが担当。ひと足先にデビューしていたシルビア(KS110、のちにS12風カウルに変更)だけが、PA10系の流れをくむリジッドリンクのリアサスペンションを持っていた。

 長谷見が選んだスカイラインは1982年5月の筑波戦でデビュー。市販車唯一の4バルブDOHCエンジンをラインナップするR30型のボディ外皮を持つ車両で、その注目度は他の2車より高く、赤と黒の2トーンカラーも非常に斬新なものだった。

 実はこのカラーリングが、1983年2月に登場する市販車であるRSターボのイメージカラーとなるわけだ。ファンにスカイラインを強くアピールするため、スーパーシルエットで先行試用したといういきさつを持つものだった。

 スカイライン/シルビア/ブルーバードの日産シルエットトリオは、基本的には同じメカニズム(シルビアのみリアサスが異なる)を持っていたが、戦績的にはスカイラインが一歩抜け出ていた。スカイラインは1982〜84年の3シーズンで19レース(うち1戦は中止)に参戦。そのうちの8戦で優勝し、表彰台は12回を数えた。ただし、リタイアも6戦あり、その強さはオール・オア・ナッシングの特性をみせていた。

 しかし、このスーパーシルエットはお世辞にもドライバビリティーやハンドリングに優れた車両とはいい難く、直線こそ570psのターボパワー全開だったが、コーナーはゆっくりと丁寧に曲がるしか方法がなかったという。もっとも、これがケガの功名となり、コーナー手前では、サイドマフラーから派手に炎を吐き出した。その様子が予期せぬギャラリー効果を生み、爆発的な加速力と合わせてまたたく間にファンを魅了、スーパーシルエットを熱狂と興奮のるつぼにたたき込んでいた。

 直線番長のスーパーシルエットだったが、その後、追浜と東京R&Dのコラボにより生まれた、世界で唯一となるフロントエンジンのグループCカー「スカイラインターボC」。この希少な存在もまた忘れることはできない。


FIAグループ5に準拠するシルエットフォーミュラとして企画され、1980年代初頭のサーキットを暴力的な加速力で駆け抜けた。その壮絶な姿にファンは思った。これこそ「史上最強のスカイライン」だと。


オリジナルのスカイライン(DR30)に対し、ボディの拡幅分は約300mm強。片側150mmとなるが、この分はすべてトレッドの拡大、タイヤのワイド化によるものである。しかし、このケタ外れのフォルムが“ハコ”のレースに大きなインパクトを与え、ファンを熱狂させることになった。


タコメーターのスパイ針は7000rpm近辺、ブースト計は1.5kgf/cm^2あたりを上限とする仕様からも分かるように、それほど高回転、高過給の設定ではなかった。コクピット回りを構成するフレーム材が、角チューブと丸チューブから成っていることに注意。剛性、重量から見れば丸チューブが正解となるが、ここでは製作時間の短縮が可能な角チューブが選ばれていた。フレームの製作はノバ・エンジニアリングが受け持った。


フロントサスペンションは直立ストラット式。キャンバー/トー剛性を考えれば不利な方式だが、エンジンベイのスペースからこの形式が採用された。


リアはダブルウイッシュボーン方式だがフレーム側のピボット位置が高く、大きく下反角のついたハーフシャフトを見ても分かるように、必ずしも理想的なベストのジオメトリーとはいえない構造を採っていた。

1983年 スカイライン スーパーシルエット(KDR30) 主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 5065
ホイールベース(mm) 2615
トレッド前/後(mm) 1610/1650
重量(kg) 1005
エンジン形式 直列4気筒DOHC
エンジン型式 LZ20B
排気量(cc) 2139
ボア×ストローク(mm) 89.0×86.0
最高出力(ps/rpm) 570/7600
最大トルク(kgm/rpm) 55.0/6400
燃料供給システム ルーカスインジェクション+ブーストコントロール付きターボチャージャー ギャレット・エアリサーチ製T05B
クラッチ B&Bトリプルプレート
トランスミッション ダグナッシュ製 5速
ファイナルドライブ C200型LSD付
ステアリング形式 ラック&ピニオン
ブレーキF/R ロッキードCP2636+φ329mmディスク/
ロッキードCP2361+φ277mmディスク
サスペンションF/R ストラット/ウイッシュボーン
駆動方式 FR
ホイールF/R 11K×16/15K×19
タイヤF/R 270/590-16/350/700-19
燃料タンク 120L(安全燃料タンク)

掲載:ハチマルヒーロー vol.16 2011年 11月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Keniji Ichi/市 健治

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