現存数が少ない二代目コロナ。さらに希少なピックアップボディ｜61年式 トヨペットコロナライン　Vol.1

高度経済成長期の日本を代表するファミリーカーがトヨタのコロナと日産のブルーバードだ。最初にマイカーを身近な存在にしたのは、日産が1955年に送り出したダットサン・セダンである。ブルーバードの先祖、110系／210系ダットサンは大ヒットを飛ばした。小型タクシーにもたくさん使われ、親しまれている。

　このダットサン・セダンの勢いを止めるために急きょ開発され、1957年７月に発売されたのが、使い勝手のいい4ドアセダン、コロナだ。シャシーはトヨペット・マスターのものに手を加えたものだが、トヨタの乗用車としては初めてモノコック構造のボディを採用した。また、フロントサスペンションもクラウンからダブルウイッシュボーン／コイルを譲り受けている。

　エンジンはS型と呼ばれる995ccの直列4気筒サイドバルブだ。エンジン以外のメカニズムは凝っていた。だが、ひ弱で、トラブルも多かったからタクシー業界を中心に酷評され、販売は伸び悩んでいる。デザインも古臭かったので「ダルマコロナ」と呼ばれた。ちなみにST10系のコロナはセダンだけではない。2ドアにテールゲートを組み合わせたライトバンの「コロナライン」が用意されている。

　ブルーバードが誕生した翌年の1960年4月、コロナは初めてのモデルチェンジを断行した。その3カ月後、第2世代のコロナラインもベールを脱いだ。野暮ったかったエクステリアは躍動感あふれる洗練されたデザインに変わっている。キャビンは広く、ラゲッジルームは荷物を積みやすい。先代と同じように2ドアにテールゲートのバン（PT26V）も用意された。

　そして9月30日、小型トラックのコロナライン・ピックアップが発表され、その日から発売を開始する。


フェンダー先端に丸型のヘッドランプを配し、その下のグリルの中に丸いウインカーランプを組み込んだ。後期型では楕円形のランプに変えられた。


欧米にはセダン派生の働くクルマが多い。「コロナライン」はコロナのリアオーバーハングを90mm延ばし、広い荷室を実現した。5人乗りのダブルピックアップも存在する。


凹面のくし型メッキグリルの中央にはトヨタの頭文字「Ｔ」をあしらった赤いオーナメントが組み込まれた。どことなく後に出るカローラの顔立ちにも似ている。


違和感なく設置されている遮熱板はオーナーが製作。前ヒンジ式ボンネットを支える役割も担う。


丸型のヒーターユニットは新品で購入したもの。パイプは洗濯機のホースを加工して製作したもの、旧車を維持する工夫が見える。


トヨペットのプレート。この個体は1961年の物だ。


別の場所には関東自動車工業のプレートもつく。


開放的な水平基調のダッシュボードに横長のメーターパネルとオーディオ（ラジオ）などを組み合わせた。ステアリングは上品な２本スポークタイプで、メッキのホーンリングを左右に動かしてウインカーを作動させる。ステアリングからはコラムシフトのシフトレバーが延びている。


ダッシュボードの中央には灰皿が装備された。


ドアには横にスライドして開け閉めできる三角窓が付き、その下にはドアロックスイッチやウインドーレギュレーターが配置された。


1961年式 トヨペットコロナライン　主要諸元
●全長4100mm
●全幅1490mm
●全高1490mm
●ホイールベース2400mm
●荷台長1540mm
●荷台幅1490mm
●荷台高420mm
●トレッド前後とも1230mm
●最低地上高175mm
●車両重量1000kg
●乗車定員2名
●登坂能力sinθ0.24
●最小回転半径5.2m
●エンジン型式P型
●エンジン種類直列4気筒頭上弁式
●総排気量997cc
●ボア×ストローク69.9×65mm
●圧縮比7.5:1
●最高出力45ps/5000rpm
●最大トルク7.0㎏-m/3200rpm
●変速比1速3.647/2速1.807/3速1.000/後退4.863/減速比5.571
●燃料タンク容量40L
●ステアリング形式ウォーム、セクター・ローラー式
●サスペンション前/後独立懸架トーションバーバネ/半楕円非対称プログレッシブ板バネ
●ブレーキ前/後ツーリーディング式/デュオサーボ式
●タイヤ前後とも5.50-13 6PLT
●発売当時価格49.9万円

ノスタルジックヒーロー 2013年2月号 Vol.156（記事中の内容はすべて掲載当時のものです）

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