製造期間わずか3年。一般ユーザーでも扱いやすい「ニューベレット」って?|67年式 いすゞ ベレットB 1500 DX Vol.1

もはや保護しても良いぐらい貴重なモデル。

       
いすゞベレットは当時の新型車開発としては非常に短い期間で行われた。理由は2つ。高度成長期を迎え、小さな国内市場ではなく、海外市場に向けた戦略があったこと。もうひとつは、藤沢工場において、ヒルマンの生産終了後も間を空けずに生産ラインを稼働させたかったことだ。特に後者は切実だった。

 当時からいすゞは商品供給という点に難があり、ベレットには生産性の良さを追求する試みが数多く見られる。フラッシャーランプの採用などは最たる例だ。しかし、もちろん生産効率だけを考えたわけでなく、独立懸架のリアサスペンションやラック&ピニオンの操舵など、高性能化へのアプローチは追求されていた。

 また、トヨタや日産のように高級車から商用車までを網羅できなかったいすゞは、ベレットに豊富なバリエーションを与えることで他社に対抗。その結果、1.3L〜1.6Lまでの排気量に、それぞれ2ドア、4ドアが用意され、スポーティーなクーペモデル、高性能なGT、さらにはディーゼルエンジン搭載車までラインナップ。特にディーゼルはタクシーとして使用され、その後、LPG車もタクシー用としてラインナップされた。

 1966年11月に「ニューベレット」という言葉とともに、Bタイプシリーズを発表。クルマのコアユーザーだけでなく、一般のユーザーにもビジネス目的でも購入してもらうため、運転の敷居を低くする工夫がなされていた。例えばベレットの高い操縦性を実現させた独立式の後輪スウィング・アクスルを一般的なリジッド・アスクルに変更。そのクセのある操舵性を回避し、運転する楽しさだけでなく、レジャーやビジネス用途にも使えるようにしたのだ。


ボディは、ワックス掛けと錆びやすい個所へのノックスドール噴霧、そしてエンジン部には耐熱ワックスし、ゴム製品にはアーマオールで美しさを維持。ガレージ内では、毛布をかけた上にカーカバーをかけて保管している。


リアランプは細長いタイプがBタイプの特徴。ベレットはとにかくリア形状のバリエーションが多く存在している。


トランクルームもリペイント済み。スペアタイヤやカバー類も当時のままで残っていた。


ホイールは純正の鉄製ホイール。ホイールキャップももちろん純正。タイヤサイズは本来5.60-13 4PRだったが、現在は6.45-13 4PRを装着。


ベレットのエンブレム。


マフラーはエンドを除いて当時のままの状態。排気漏れなどは起こっていないが、サビは気になるところ。


ヘッドライトのリムは当然のことながら新品パーツが手に入らない。ようやく手に入ったパーツだったが、両方とも左側のものだった。


そのため右側のパーツは上下をひっくり返し、本来下に来るべきネジ穴の切れ込みが上に来ることになった。


G150型エンジン搭載の1.5Lクラスは、1963年の登場時から生産終了までラインナップされ続けた長寿グレード。エンジンルーム内は再ペイントされた以外は純正のまま。ウオッシャー液タンクが日産用なのは愛嬌だ。


1967年式 いすゞ ベレットB 1500 DX 主要諸元
●全長4035mm
●全幅1495mm
●全高1415mm
●ホイールベース2380mm
●トレッド前/後1220mm/1195mm
●最低地上高175mm
●室内長1605mm
●室内幅1240mm
●室内高1110mm
●車両重量910kg
●乗車定員5名
●最高速度137km/h
●登坂能力sinθ0.420
●最小回転半径5.1m
●エンジン型式G150型
●エンジン種類水冷直列4気筒OHV
●総排気量1471cc
●ボア×ストローク79×75mm
●圧縮比8.5:1
●最高出力68ps/5000rpm
●最大トルク11.3㎏-m/2200rpm
●燃料タンク容量40L
●ステアリング形式ラック&ピニオン
●サスペンション前/後独立ダブルウィッシュボーン コイル/横置半楕円リーフ
●ブレーキ前後ともドラム
●タイヤ前後とも5.60-13 4PR
●発売当時価格61.2万円

ノスタルジックヒーロー 2013年2月号 Vol.156(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Kazuhisa Masuda/益田和久

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