販売期間は1年半! アラバスターホワイトで「白いクラウン」のイメージを一新|1970年式 トヨタ クラウン ハードトップ SL Vol.1

ベースとなったのは、ヘッドライトが大きくなり、フロントからサイドにかけてのコーナーレンズが装備されない後期型。

       
トヨタとハードトップの歴史は長い。

1965年、日本初となるBピラーのないハードトップとしてデビューしたのはミドルクラスのRT50系コロナで、1968年にはアッパーミドルの初代コロナマークⅡ、そしてアッパークラスの3代目S50系クラウンと、時代をリードするべく各カテゴリーにハードトップを送り込んでいる。ライバルの日産がハードトップを発売するのは、1970年のC30系ローレルまで待たなければならなかったことを考えると、トヨタの先見性がうかがい知れるエピソードだ。

 さて、クラウンハードトップ(MS51)は、3代目S50系のフルモデルチェンジから1年以上遅れた1968年10月にデビュー。満を持して発売されたものの、セダンより発売時期が遅れてしまったこともあり、前期型は1年も経たないうちに販売が終了。後期型も約1年半という短い販売期間しか与えられなかった。だが、実用性よりもフォルムの美しさや性能、高級感をうたったハードトップならではの個性が重なり、意外にも現存する個体の数はそれなりに多い。

 そんなMS51に再び光を当ててきたのが、横浜の「クラウンクラシックス」で、ここで紹介する一台は、新車当時の美しさをそのままに、メカ部分を130系クラウンのそれにアップデートした、見てよし走ってよしの傑作なのだ。

ベースとなったのは、ヘッドライトが大きくなり、フロントからサイドにかけてのコーナーレンズが装備されない後期型。下地処理の段階から抜かりなく整えられたボディに塗られる色は、S50系クラウンの代名詞ともいえる白なのだが、純正設定のシュノンソウホワイトではなく、メルセデス・ベンツのアラバスターホワイトとし、従来の「白いクラウン」との差別化、そして進化を決定づけている。


後期型HTならではの大型ヘッドライトは、H4タイプに改造されていた。バンパーにオーバーライダーが付くのは、SLとスーパーデラックスのみ。


セダンよりも55mmほど全長が短くなるハードトップの端正なプロポーション。セダンではCピラーに付く排気ダクトが、リフレクターとともにテールレンズ付近に配置されるなど、独自のデザインを有する。


20世紀終盤に一大ブームを巻き起こした、ムーンアイズ/ボイドの「デイジー」17インチを装着。


車高を落とすために社外のショック&調整式ラテラルロッド装着、コイルカットを施す。リアに8Jのホイールを履かせるため、リアアクスルのナロード加工まで行っていた。


給油口はリアナンバーの真上に位置しており、リアガーニッシュの一部がフューエルリッドになっている。ガーニッシュや当時のオートマの名称「トヨグライド」のエンブレムまで美しくリメイクされていた。


純正ではシート中央部が布地になるのだが、ここでは当時の雰囲気を残したまま、すべてブラックのレザーで張り替えている。


インパネにタコメーターが付くのも、ハードトップのSLとスーパーデラックスだけである。

1970年式 トヨタ クラウン ハードトップ SL(MS51-C)主要諸元
●全長4610mm
●全幅1690mm
●全高1420mm
●ホイールベース2690mm
●トレッド前/後1370/1380mm
●車両重量1300kg
●乗車定員5名
●最高速度155km/h
●登坂能力tanθ0.44
●最小回転半径5.5m
●エンジン型式M-B型
●エンジン種類水冷直列6気筒SOHC
●総排気量1988cc
●ボア×ストローク75×75mm
●圧縮比9.5:1
●最高出力125ps/5800rpm
●最大トルク16.5kg-m/3800rpm
●変速機形式前進3速オートマチック
●変速比1速2.400/2速1.479/3速1.000/後退1.920
●最終減速比4.111
●ステアリング形式リサーキュレーティング
•ボール式(20.5-23.6:1)
●サスペンション前/後ウイッシュボーンコイル式/半浮動バンジョー型4リンクコイル式
●ブレーキ前/後ディスク/ドラム
●タイヤ6.95-14 4PR
●発売当時価格120.2万円

ノスタルジックヒーロー 2013年2月号 Vol.156(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Hirano Akio/平野 陽

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