カタチにほれた「デボネア愛」。トヨタ製V8を搭載し生まれ変わったネオクラシック|77年式 三菱 デボネア Vol.1

数ある日本車の中でも、独自の存在感を放つデボネア。三菱の重厚なイメージを牽引したこの名車にトヨタのV8をインストールした。

       
1960年代の基本設計を維持したまま、1980年代半ばまで生産が続いた奇跡の日本車、初代デボネア。

22年間も生産が続いたことから、モデル末期には明らかに時代にそぐわないクラシカルなクルマとなってしまったが、それがむしろ一部のクルマ好きを刺激し、独自の地位を獲得。高年式なのに60sクラシックというその存在感は、デボネアの何よりの個性と言えるだろう。しかしそんなデボネアも生産終了から40年近くが経ち、ネオクラシックの部類に入る時代がやってきた。

もともと数が出たクルマではないので部品事情も厳しく、今後維持していくには苦労していきそうな気配が漂っている。

 そこで最近増えてきているのが、デボネアのエンジンスワップ事例だ。

デボネアオーナーはこのカタチにほれ込んでいる場合が多く、乗り続けるために積極的にスワップを選択するオーナーが増えているのだ。今回のデボネアのオーナーもそんな「デボネア愛」にあふれており、最初からエンジンスワップを前提にデボネアを購入。作業したエンジンスワップ件数は間違いなく日本一といわれているスペシャルショップ「C&Yスポーツ」に車体を持ち込み、スワップ作業を依頼し完成した一台が今回の取材車両。

 積んだエンジンは、なんとトヨタ製V8の1UZ-FE型。もともとデボネアはエンジンルームが広いので、搭載エンジンの容積的制約は少なく、この排気量4LのDOHCヘッドを持つV8をラクラク飲み込んだのだ。



ただ載せただけでなく、細かい補機類にはカバーを被せてエンジンルームをスッキリ見せる工夫をしているのがわかる。1UZ-FE型はパワーとトルクがある割にはタマ数豊富で入手しやすいので、いまスワップ用のベースエンジンとして世界的に人気が高まっている。


エンジンルームに違和感なく収まった1UZ-FE型。


ミッションはドナーとなったセルシオの物を移植。O/Dスイッチなどをさり気なく配置。


右フェンダー前方に設置されたタンクは、アルミでワンオフしたウオッシャータンク。こうした「見せる物」と「隠す物」を巧みに配置し、美しいエンジンルームを作り上げている。


エキマニは現車合わせでワンオフ。ステンレス製でパフォーマンスアップにも一役買っている。


純正は8連のサイコロテールランプだが、中央のガーニッシュを左右に延ばして4灯テールへとカスタム。


ホイールはアメリカ車のイメージでムーンアイズ製のベビームーンをチョイス。しかもこれは通常のスチール製とは異なるアルミ製で、質感が高いのがポイント。


1977年式 三菱 デボネア 主要諸元
●エンジン:1UZ-FE型
●ミッション:20系セルシオ流用AT
●排気系:ワンオフステンレスエキマニ&マフラー
●ホイール:ベビームーンスペシャル(F&R:7J×16)
●タイヤ:FEDERAL SUPER STREET 595(F&R:205/55ZR16)
●エクステリア:カスタムリアガーニッシュ

掲載:Nostalgic SPEED vol.004 2014年 07月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Hirano Akio/平野 陽

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