初代セリカに3S-Gスワップ!? 純正インパネのままでアップデート|1977年式 トヨタ セリカリフトバック 2000 GT Vol.2

オレンジに塗られたヘッドカバーの3S-Gにアルテッツァ用のエキマニがハイパフォーマンスを物語る。

       
1977年式 トヨタ セリカリフトバック 2000 GT Vol.2

「現代車と同じレベルで乗れる旧車を作って欲しい」

 そんなオーダーに対し、ありとあらゆるエンジンスワップ事例を経験してきた「ダディーモーターワークス」ショップ代表の尾頭邦宏さんは、このオーダーに真剣に取り組み、セリカを仕上げた。

 エンジンは同じトヨタのVVT-i付き3S-G型をチョイスし、ドナーとなったアルテッツァから5速ATも移植。AE86のフロントメンバーをパワステラックごと移植し、アルテッツァのステアリングシャフトとドッキングしたことで、アルテッツァのチルト機構を残したままパワステ化することもできた。もちろんエアコンも移植済みで、純正の吹き出し口を生かしたまま夏場の快適なドライブも可能になった。

 だがここまでなら、よくあるスワップメニューと言えなくもない。オーナーが言う「現代車と同じレベル」とは、もっと多岐に及んでいるのだ。まず旧車特有のメーターの暗さを解消するために、純正メーターのままELバックライトをセット。シートは純正をベースに張り替えたが、この時シートヒーターを仕込んだ。さらに集中ドアロックや給油口の開閉を電気式に変更するなど、普段特には意識しないが、現代車にあって旧車にない装備を徹底的に付加。

なかでも極めつけはフェンダーミラーだ。なんとATをRレンジに入れると、車庫入れしやすいようにミラー面が下がるギミックが追加されてるというから恐れ入る。さらに効果的なのが、防振、防音材であるダイナマットの追加だ。フロアやドアにダイナマットを張ったことにより、旧車特有のノイジーな車内ではなくなり、ドアを閉めた時の音も「ドムッ」という重さのある音となった。

 かくして現代車レベルの快適性を手に入れたこのセリカは、通常のエンジンスワップ旧車とはひと味違う存在となった。オーナーの求める高い要求と、それに応えるショップの存在が、旧車をまだまだ進化させていくのだ。


現代車と同じレベルを本気で追求した「超」快適旧車だ。


ストラットタワーの後ろ(左)に設置されている黒いタンクは、ワンオフされたウオッシャータンク。アルミ製だが、エンジンルームで目立たぬようにあえて黒く塗られている。3S-G型が載せられたモダンなエンジンルームにかかわらず、エッグランプをあえて残しているのが面白い。


ラジエーターはサードのアルテッツァ用。バッテリーはあえて移設せずエンジンルームに残した。


ブレーキは現状ノーマルのままで、フロントにはエンドレスの強化パッドを装着。今後はFCキャリパーに交換してストッピングパワーを強化する予定。


マフラーはステンレスでワンオフ製作。エンジンスワップを感じさせない旧車らしいサイズ感だ。現車は77年式ということで最後期型となり、本来なら北米仕様と同じビッグバンパーが装着されるが、バンパー類はすべてメッキバンパーへと交換済み。リアバンパーはFRP製の物をベースにペイントメッキで仕上げたが、違和感なく収まっている。


ステアリングはアルテッツァ用を流用。シフトボタンの機能もそのまま生かされている。


ホーンボタンにはワンオフされたセリカロゴをセット。


エアコンの吹き出し口や操作パネルはオリジナルをそのまま残して使用する。コンプレッサーはアルテッツァ用となるので、効きも格段に向上。


とても旧車とは思えない装備だ。
 

掲載:Nostalgic SPEED vol.004 2014年 07月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Takayoshi Suzuki/鈴木貴義 photo:HIRANO AKIO/平野 陽

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