先駆者のプライドを懸けて送り出したフルタイム4WDターボ|1985年式スバル レオーネ 3ドアクーペ RX/II  Vol.2

       
1980年代当時、「四駆のスバル」の看板は揺らいでいた。

アウディが画期的な4WDを開発し、マツダがフルタイム4WDターボを設定し、スバルは遅れていた。

スバルもファミリア4WDとほぼ同じタイミングでレオーネRXに3ドアクーペ(AG5)を投入したものの、半年足らずで、スバルが「趣旨替え」のAG6を送り出す。
出さなければいけなかった理由はAG5がフルタイム4WDであったため。ターボが欠けていたのだ。

 しかし急ごしらえとなったAG6は、ボディ、エンジン、サスペンションをAG5からキャリーオーバー。肝心のフルタイム4WDシステムは、センターデフにシンプルなベベルギア式を使用。デフロックにも専用電源を使用しないバキュームアクチュエーター式を使い、トランスファーのケーシングはAG5とほとんど変わらないコンパクトなものに仕上がった。

おかげで4WDシステムは無理なくクーペボディに収まっているが、逆に言えばこのシステムでは、AG5との決定的な差異が見いだしにくかったのも確か。その証拠に性能のみが評価されるモータースポーツの世界では、AG5が全日本ラリー選手権制覇などの成果があるのに対し、AG6には目立った成績が残っていない。

 車型やAT/MTの違いによって、フルタイム、パートタイム、MP‐Tという3つの4WDシステムを揃える試みは、いたずらにラインナップを混乱させるだけに終った。「四駆のスバル」復活には、レガシィの登場を待たなければならなかったのだ。


グレーの入った2トーンバンパーと大型エアダムスカート&リアスポイラーなどがAG5との相違点。


ステアリングを純正ながら別グレードのものに交換してある他は、フルノーマルの室内。


5速マニュアルのシフトレバーの下には、デフロックスイッチとデュアルレンジシステムの切り替えレバー。デュアルレンジシステムはギア比を走行中でもHiとLoの2段階に切り替えることのできる副変速機で、5×2=10段の変速が可能だった。


フロントシートはバケットタイプ。


禁煙車だったらしく、室内にはヤニやシミの跡は皆無。本格的な掃除はしていないというが、それでも極上のコンディションに仕上がっていた。


大型テールゲートを開ければ、550Lの大容量ラゲッジルームが現れる。リアシートは左右独立の分割可倒式。ラゲッジフロア下には3カ所のサブトランクもある。


掲載:ハチマルヒーロー vol.16 2011年 11月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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