ファイナルギア比を高速型に! 走りの質感を高めたオトナのターボ|1981年式セドリック4ドアハードトップ200ターボ ブロアム Vol.2

ニッサンマチックはフロアタイプの3速ATだ。OD付きの4速ミッションは82年に登場した最終型のみに搭載。センターコンソールには音だけ聞くことができるテレビチューナーを装備。

       
1980年代において「ターボ」という言葉は、どんなエンジンもたちまちハイパワーにする魔法のアイテムのようなイメージが付いて回っていた。

 そんな時代の先陣を切ったのが430セドリックだ。「日本初のターボエンジン搭載市販車」という称号がある通り、日本で初めてターボを積んだクルマであり、このクルマの登場からターボ搭載車が爆発的に増え、ネコもしゃくしもターボ搭載という日本独自のクルマ社会が形成される。

 最後のL型エンジン搭載車となった430はL28E型直列6気筒SOHC2.8Lを搭載。

 その後、1979年10月、乗用車としては日本初のディーゼルエンジンのLD28型直列6気筒SOHC2.8L搭載車が追加され、日産初のエンジン集中電子制御システム(ECCS)が採用されるなど、次世代のクルマの核ともなるさまざまな技術が初めて搭載。この時、ターボエンジンのL20E‐T型直列6気筒SOHC搭載車もラインナップ。翌年の1980年には、910ブルーバード、スカイラインジャパンにターボ車仕様が登場。日産は一気にターボ車ラインナップを取り揃えることとなった。

 実は当時、ターボは、毎年更新される排ガス規制への対応という名目で、認可を勝ち取ったもの。しかも、当時のターボ車は意外に遅く、しばらくアクセルを踏み込んでいるとドッカーンとターボが利いてくるものだった。

 今回の撮影車両である430セドリックターボブロアムは、排ガス規制への対応をクリアしつつも、高出力化に成功し、145psを発揮。ハイパフォーマンスモデルという位置づけで、430ラインナップの頂点に君臨。

 しかし、人気の理由は、動力性能だけではなく、オーバーヘッドコンソール、リアシート用のラジオセットなどの装備が木目調にまとめられた豪華な内装がおごられていたこと。四角い外観とも相まって重厚な雰囲気を演出。

 ターボで武装したオトナのクルマ。それが430セドリックなのである。


ターボによる出力増加を生かし、ファイナルギア比を高速型に変更して、低燃費、低騒音を同時に実現した。



エンジンルームに誇らしげに書かれたターボの文字。社名より大きく書かれた事から強調したかった事がうかがえる。


銀色のリモコンミラースイッチの下は左からフォグランプ、フューエルリッドオープナー、トランクオープナー。右側が上から、熱線リアウインドー、パネルランプ、アラームキャンセラーとなっており、用途がバラバラながら使用頻度の高いスイッチを集中させているパネル。


ボンネットにはセドリックの立体エンブレム。メルセデスベンツのような高級感を演出している。

掲載:ハチマルヒーロー vol.16 2011年 11月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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