発売と同時に一瞬で完売したダイハツ唯一のグループBホモロゲモデル|1984年式ダイハツ シャレード 926ターボ Vol.2

ステアリングはシャレードターボの最上級グレード、デトマソに装備されていたモモ製の3本スポークを標準装着。

       
ダイハツ唯一のグループBホモロゲーションモデル、926ターボのスペックは76ps、11kg‐mと公表されていたが、ダイナモ実測で120psを絞り出していた。
 エンジンに競技用のクロスミッションを装着したラリー仕様では、最高速が200㎞/hを超えていたという。

 そんな926ターボは、他のグループBラリー車のような迫力満点の空力パーツは未採用。ただし、そのボディには、即実戦が可能な細かい変更が施されている。フロントウインドーには競技用車両の常識である合わせガラスを使用。バッテリーやワイパーブレードは大型化され、ヘッドランプにはハロゲンバルブを使っている。大々的にはアピールされていないものの、ボディそのものにもストラットタワー、ピラーの付け根、ロワコントロールアームなどの数カ所に補強が入れられているのも見逃せないポイント。さらに、なんとラリー用サスペンションまでもが、運輸省(当時)認可のオプションパーツとして設定されていた。

 当時、多くのグループBホモロゲの限定200台が、FISA(国際自動車スポーツ連盟)の規定数クリアのためだけの生産モデルであったのに対し、この926ターボは、200台全てがラリーで使えるよう仕立て上げられていた。これがこのクルマの最大の特徴だ。

 ダイハツのワークスチームであったDRSからこのクルマが提案された当初、ダイハツ社内では限定200台がさばけるかどうか疑問の声もあったというが、この内容で115万円のプライスなら評判にならないはずはなく、200台はあっという間に完売。おかげで企画元のDRSでさえ、ラリーで使うクルマを集めるのに苦労したというエピソードも残っている。


ハロゲンヘッドランプを標準装備し、バンパーストライブがホワイトになっていること以外、エンブレムを含めてベース車であるシャレード・ターボとの違いはない。できるだけコストを抑えたラリー車を提供するのも、このクルマのコンセプトだった。


屋内ガレージに保管されていたため、ボディのつやは維持されている。165/70HR13のタイヤとホイールも当時のままという奇跡のコンディションだ。


1.3L以内に収めるべく、あえてシャレードターボより排気量をダウンさせたのが、この926ターボなのだ。


シートは専用の2トーンカラーのバケット式。シミひとつない極上のコンディション。


G26のCE型エンジンは、シャレード・ターボのCB50型に比べ、ボアが2.6mm小さく、926ccの排気量となっている。


ただし、CB50型のシリンダーにスリーブを入れて対処したわけではなく、海外仕様の60ps版、CB33型のシリンダーを使用。これに高速型カムを組んだ全くの別モノだ。


撮影車の車台番号は210。最終の個体である可能性が高い。

掲載:ハチマルヒーロー vol.16 2011年 11月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Hideaki Hiramatu/平松秀樹 photo:Makoto Inoue/井上 誠

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