両親が大切乗ってきたハコスカが全損事故に……オーナーのとった行動は?|1972年式 日産 スカイライン HT 1800 スポーティGL Vol.2

ボディカラーは南太平洋の空の色をイメージしたというブルーメタリック。サーフィンラインがよく映える色だ。ホイールは純正スチールで、ホイールキャップも純正品。タイヤはアメリカのタイヤメーカーであるクーパー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー製のホワイトリボン入りTRENDSETTER Ⅱで、サイズは前後ともP175/75R14。

       
今でこそL型を積んでいるイメージの強いハコスカだが、最初にラインナップされたのは直列4気筒のG15型エンジンを搭載する1.5Lセダンだった。

L20型やS20型エンジンの6気筒搭載車が後から発売されると、1.5L車と区別するために、6気筒モデルは「ロングノーズ」と呼ばれた。
1.5Lエンジンを搭載する「標準」モデルは決して人気がないわけではなく、当時は街でもたくさん見かけたが、大事にされ、残されていくのは上級モデルとなるGT-XやGT-Rだ。

そうして、いつしかそれら6気筒エンジンを搭載するモデルがハコスカの代表的なグレードと認識されるようになり、ロングノーズという表現が薄れ、むしろそちらが「標準」モデルのようになり、「標準」モデルだった4気筒エンジン搭載車を表現する「ショートノーズ」という言葉だけが残った。

しかし、今やショートノーズはその希少性から評価が変わってきている。旧車イベントにおいても、時にはGT-Rよりショートノーズに人が集まってくるほど。そして何よりもさまざまなグレードがあることが魅力だ。さらにプリンス製のG型エンジンを搭載しているという点もファンを魅了するポイントでもある。

そんなショートノーズのハコスカを所有するのがオーナーの桃崎さんだ。

桃崎さんは幼少期に家族がハコスカを買う際に青色にとせがんだ結果、青色のC10スカイラインHT1500を購入することになったそうだ。
 
両親によって大切にされていたこのクルマは幼かった彼が免許取得できる年齢まで乗り続けられ、ついに譲り受けらることになる。


しかし、両親から譲り受けたスカイラインが、自分のスカイラインになった喜びは永遠のものにはならなかった。譲り受けてから8年後、全損事故にあってしまったのである。

25年間大切にしてきたクルマを前に呆然とする桃崎さん。そこから彼は、全く同じクルマを買い直すという新しい目標に向かって歩み始める。

ご存じの通り、ハコスカはGTやGT‐X、GT‐Rはフルレストアされて残されている可能性は高い。だが、低グレードに位置するショートノーズは乗りつぶされて廃車になるか、部品取りになる確率が高く、ほとんど残されていない。残った個体にしても、程度のよい状態のクルマは少ないのが現状だ。

そんな中、桃崎さんは1台のクルマを見つける。程度はそこそこの不動車だったが、少しでも早くスカイラインを復活させたかった桃崎さんは、そのクルマを購入し、レストアを決意。しかも全損事故にあってしまった以前のクルマから、リアシートと内張り、天井張りを移植。桃崎さんが子供の頃から座ってきたリアシートは、そのまま引き継がれた。

そして、最後の仕上げとして思い出のブルーメタリックへ全塗装。

完成したスカイラインは、毎日の通勤で使用。毎日乗ることで気になるところがどんどん出てくるため、常に何かしら修理やモディファイを繰り返しているとのこと。

桃崎さんにとってこのような日常は、このクルマにも思い出を蓄積させるための大切な過程なのだ。


1800スポーティGLのリアランプは独立2連。



排気量の下にグレード名が入ったエンブレム。スポーティーGLは1800のみ。


プリンス製のG15型エンジン。「標準」モデルだったはずの4気筒エンジン搭載車がいつしか「ショートノーズ」と呼ばれるようになった。


ボンネット裏のラブスカイラインステッカーの上には2009年の第4回門司港レトロカーミーティングにゲスト出演した高橋国光さんのサイン。


マフラーはオークションで手に入れた新品に交換済み。


天井をはじめ内張りは全て以前のクルマから流用してきたもの。子供のころに自分の指定席だったリアシートもそっくりそのまま移植している。

掲載:ノスタルジックヒーロー 2013年2月号 Vol.155(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Kiyoshi Nisino/西野キヨシ

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