コブラで有名なシェルビーが作ったトヨタ2000GTを破り、圧倒的速さを誇った240Zとは?|往年の仕様を再現したストリート仕様のBREレプリカ|1970年式 ダットサン240Z Vol.1

1970、71年のシリーズチャンピオンに輝いた、ジョン・モートンの46号車を再現。赤と白のカラーリングに、ボディサイドにブルーのラインが入り、ドアには栄光のナンバー「46」が大きく描かれている。「BRE DATSUN」のロゴやスポンサーのステッカーなども忠実に再現されている。

       
【1970年式 ダットサン 240Z Vol.1】

1960年代、「ミスターK」こと当時の北米日産の社長だった片山豊氏の強力な働きかけがあって、開発がスタートしたS30系フェアレディZ。アメリカでは「ダットサン240Z」として販売され、記録的な大ヒットとなった。その数は、世界総販売台数57万台(日本国内8万台)に達していた。

 ロングノーズ&ショートデッキのスタイルはもちろん、L24型エンジンをはじめとする、扱いやすさも人気を博した理由の1つに上げられる。この240Zが持つポテンシャルを見抜き、ARRC(アメリカン・ロードレース・オブ・チャンピオン)に参戦したのが、レーシングカーの製作などをてがける名門BRE(ブロック・レーシング・エンタープライズ)だ。

 BREは、1966年にピート・ブロックによって設立された。彼は、史上最年少でGMのデザイナーとなり、コルベットのデザインチームに参加。その後、キャロル・シェルビーのもとで「コブラ・デイトナ・クーペ」のデザインを手がけていた。しかも、この当時から急速に性能が向上している日本車に注目。BRE設立後には日産と交渉し、フェアレディ2000(SRL311)でSCCA(スポーツ・カー・クラブ・オブ・アメリカ)のプロダクションレースに1968年から参戦。ライバルのシェルビー・トヨタ2000GTを破り、デビューイヤーから優勝を飾り、1969年も優勝するという実力を見せつけたのだ。


ワンテールとリアゲートのスリットが初期型の証し。リアバンパーが外されているが、元に戻せるように、取り付け位置の穴は残されている。


北米仕様の場合、フューエルリッドはキーシリンダーではなく、手で回す仕様となる。給油口のキャップも国内仕様とは異なる。


ホイールは、セントラル20から販売されたZスポーツの7.5J×14(当時モノ)。タイヤはBFグッドリッチの205/60R14を装着。


本来は、エンブレム類は外されるのだが、あくまでBERレプリカ仕様ということで、ボンネットの「DATSUN」エンブレムは残している。


メーター類は北米仕様のままで、スピードはマイル(mph)、水温は華氏(°F)、油圧はポンドインチ(lb/in2)の表示となるステアリングは当然ダッツンコンペ。


アクセルリンケージやキャブのスロットルリンクはピロボール化されていて、正確なセッティングが出せるようになっている。


タコ足はステンレス製に交換されている。左ハンドルのためステアリングシャフトがあり、ギリギリのレイアウトだ。


ピロボール化されていて、正確なセッティングが出せるようになっているアクセルリンケージやキャブのスロットルリンクなど【写真8枚】

1970年式 ダットサン240Z(HLS30)主要諸元
●全長4136mm
●全幅1630mm
●全高1286mm
●ホイールベース2305mm
●トレッド前/後1356/1347mm
●最低地上高164mm
●室内長820mm
●室内幅1390mm
●室内高1075mm
●車両重量1066kg
●乗車定員2名
●最高速度205km/h
●エンジン型式L24型
●エンジン種類水冷直列6気筒SOHC
●総排気量2393cc
●ボア×ストローク83.0×73.7mm
●圧縮比9.13:1
●最高出力151ps/5600rpm
●最大トルク20.1kg-m/4400rpm
●変速比1速3.59/2速2.25/3速1.42/4速1.000/後退3.66
●最終減速比3.36
●燃料タンク容量60L
●ステアリング形式ラック&ピニオン
●サスペンション前後とも独立懸架ストラット・コイル
●ブレーキ前/後ディスク/リーディングトレーリング
●タイヤ前後とも175HR-14
●発売当時価格3526ドル

掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年10月号 Vol.153(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Kazuhisa Masuda/益田和久

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