販売期間は短いながらも強い印象を残したグレード「GT-X」|1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-X Vol.1

       
C10スカイライン、いわゆるハコスカは1966年のプリンスと日産合併後の68年7月に発売された。

 つまり日産として初めて新型車として発売したスカイラインであるが、実際にはプリンス時代に開発されたS7が元になっており、エンジンもプリンス製の4気筒G15型が搭載されていた。

 そして1969年2月、レースでの使用を前提としたPGC10スカイラインGT-Rが登場。R380のGR8型エンジンをベースに開発された直列6気筒のS20型エンジン搭載で戦闘力を増し、レースにおいて連戦連勝を重ねることになる。

 1.5L(のちに1.8Lも追加)エンジン搭載の一般向けのC10スカイライン、2LのS20型エンジン搭載のレーシングカーベースのGT-R。そして、その間の存在となるのが日産が開発した直列6気筒SOHC2LのL20型エンジンを搭載し、GT-Rに先がけ1968年10月に登場していたスカイライン2000GTだ。ちなみに初期型のL20型は最高出力が105ps。その後、1969年にブローバイ還元装置が付いたL20(A)型エンジンが開発され最大出力は115psとなり、S30フェアレディZをはじめ各日産車に搭載され、2000GTにも載せられた。

 その後、小変更を繰り返したのち、1971年9月のマイナーチェンジのタイミングでSUツインキャブレター仕様のL20型エンジンを搭載したKGC10スカイラインHT2000GT-Xが登場。最高出力は130psとなり、グリルを変更。

 GTエンブレムも金色となった。1972年3月にはセダンも発売されたが、その年の9月にはC110スカイラインへとモデルチェンジ。非常に短命なグレードであったが、クルマ雑誌などでGT‐R以外のハコスカ写真が使用される場合は、このGT‐Xであったことが多く、その印象は強く残った。


シルバーのボディは純正色にこだわり、オールペンしたもの。しかし、レストアにあたっては、純正塗料番号がわからず苦労したという。ホイールは純正のスチールホイールで、サイズは4.5J×14。タイヤはBSスニーカーで、サイズは前後とも165/80R14。


GT-Xのデザインで特徴的なのはサイドモールの位置が高く、非常に目立つ点。これはサーフラインをより強調するための手法。


偏平型のタルボミラー。R382と同じタイプ。


CピラーにあるスカイラインのSが入った外気を取り入れるベンチレーション。


GT-Xは前後席ともにトリコットシートが標準装備。フロントだけではなくリアもバケットになっている。ヘッドレストも可動式だ。


ほぼ全て純正パーツで仕上げられたコクピット。外装に比べて内装は購入時から程度がよく、純正パーツも数多く残っていたという。GT-XとHTモデルのみステアリングは木目で握り部分のみを革巻きにしている。


完全無反射の円筒型6連メーター。夜間はグリーンの照明が点灯。


GT-X(HTのみ)標準装備のパワーウインドー。シフトレバーの手前に集中コントロールボックスが配置される。



センターコンソールにあるラジオとベンチレーションレバー類。注目はその下のインダッシュの特別注文装備品である純正クーラー。


フロントグリル内にある2000GT-Xのエンブレム。こういった1つ1つのパーツもキレイに仕上げられた。

71年式 日産 スカイライン HT 2000 GT-X
●全長4330mm
●全幅1595mm
●全高1375mm
●ホイールベース2570mm
●トレッド前/後1325/1320mm
●最低地上高170mm
●室内長1655mm
●室内幅1325mm
●室内高1100mm
●車両重量1095kg
●乗車定員5名
●登坂能力tanθ0.62
●最小回転半径5.2m
●エンジン型式L20型
●エンジン種類水冷直列6気筒SOHC
●総排気量1998cc
●ボア×ストローク78.0×69.7mm
●圧縮比8.6:1
●最高出力125ps/6000rpm
●最大トルク17.0kg-m/4400rpm
●変速比1速3.321/2速2.077/3速1.308/4速1.000/5速0.864/後退3.657
●最終減速比3.900
●燃料タンク容量50L
●ステアリング形式リサーキュレーティングボール式
●サスペンション前/後ストラットボールジョイント式/半浮動ボールスプライン式
●ブレーキ前/後ディスク/リーディングトレーリング
●タイヤ前後とも6.45S-14-4PR
●発売当時価格99.3万円

掲載:ノスタルジックヒーロー 2013年2月号 Vol.155(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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