「L28改から初期型フルノーマルへ戻す!」初期型のZだと確信したオーナーが決断したのはフルノーマルに戻すこと。その理由とは?|1970年式 日産フェアレディZ S30S Vol.3

S30系の初期型のポイントは、ワンテールのほか、リアバンパーのサイドに穴がないのが特徴。S30Sの車両重量は初期型は975kgだが、71年10月以降は1085kg、74年1月以降は1160kgと重くなる。

       
装備が簡略化されたことで車重が通常グレードより20kgも軽い975kgだったフェアレディS30SZ。

 軽量化されたおかげでスタートダッシュなどが良く、あえてS30Sを選ぶオーナーもいたようである。また、ワーナータイプのシンクロを持つ4速ミッション(F4W71A)は、Z‐Lに採用されたポルシェタイプのシンクロを持つ5速(FS5C71A)に比べ、カチっとしたシフトフィーリングが好まれることもあった。

 今回紹介する大塚覚さんのS30Sは、車体番号が1600番台の1970年式だ。

 購入当初は、L28型エンジンに換装され、ミッションも5速に変更、構造変更を受けて3ナンバー登録となっていた。ただし、車検証の車両重量が975kgだったため、初期型のS30Sと確信し、フルノーマルの状態に戻すことを決意したのだ。

 ノーマルに戻すためには、エンジンをはじめ、貴重な4速ミッションなどを新たに入手するしかない。そこで大塚さんが相談を持ちかけたのが、L型チューンの老舗「SS KUBO」だ。

 数多くのL型エンジンをチューニングしてきたSS KUBOにとっても、初めての依頼であったが、ストックしてあったL20型エンジンと4速ミッションを引っ張り出し、OHして換装。構造変更を受け直して、めでたく5ナンバーに返り咲くことができたのだ。

「販売されたZの90%以上がZ‐Lだったので、S30Sを探すのに苦労しました。手に入れたい部品がなかなか見つからなく、高価だったりして思うように進みません」と大塚さん。今後も少しずつ手を入れながら、若い時に憧れたフェアレディZを楽しむそうだ。



S30Sはスチールホイールが標準だが、オプションで設定されていたS30用を装着。純正スチールホイールはトピー製4.5J×14。タイヤはダンロップの165HR15を装着している。

販売されたZの90%以上がZ‐L。希少グレード。全ての画像を見る


ラゲッジスペースのフロアマットは、Z-Lとは異なり、S30Sはビニール製が標準。日に焼けないで残っているのは珍しい。


L型チューンの生みの親でもある「SS KUBO」が、大塚さんの依頼を受けてノーマル戻しの作業を担当。エンジンやミッションなどは、載せ替えなどでストックしてあったL20型エンジン、SUキャブ、タコ足、4速ミッションなどを引っ張り出し、OHして搭載。「まさかL20型エンジンに戻してくれっていう依頼が来るとは思わなかった。でも、ノーマルもイイだろー」と、ゴッドハンドの異名を持つ久保靖夫さんのコメント。
写真は載せ替えられる前に乗っていたL28型エンジンだ。


エンジンルームには、SS KUBOでOHされたL20型エンジンが収まり、極めてスムーズで静かにアイドリングしていた。L型エンジンのヘッドカバーは、年代などによっていくつも種類があるが、初期型には「NISSAN 2000・OHC」と入り、「2000」とあるのが初期型となる。

掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年10月号 Vol.153(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

販売されたZの90%以上がZ‐L。希少グレード。全ての画像を見る

70年式 日産フェアレディZ記事一覧(全3記事)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Motosuke Fujii/藤井元輔

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