現存台数は少数? 93万円で買えた4速MTの30Z|1970年式 日産フェアレディZ S30S Vol.2

純正色であるグランプリホワイトのS30S。975kgという軽量ボディを生かしたスタートダッシュは、Z-Lよりも高評価だったようだ。前後バンパーにバンパーラバーが装着されていないのが見分けるポイント。また、純正ではスチールホイールの設定だが、オプションで用意されていたホイールキャップをオーナーの好みで装着している。

       
今なお人気の高いS30フェアレディZは発売当初3グレードがラインナップしていた。

 トップモデルでS20型エンジンを搭載するZ432、そしてL20型エンジンを搭載するZ‐L(S30)、そしてZ‐Lの廉価版としてラインナップされたのが、単にフェアレディZとなるS30Sだ。

 当初の販売価格は、Z‐Lが108万円だったのに対し、15万円安い93万円という設定。

 ただし、オプションで5速ミッションを選べたり、1971年3月からはATミッションが自由に選べるようになったり(73年9月からなくなった)、マイナーチェンジによる装備の変更などがあった。

 また、2シータースポーツカーそのものが贅沢なクルマであったことから、Z‐Lを購入するユーザーが多く、純正フルノーマルのS30Sは、極めて少数だっただろう。

 しかし廉価版といえど性能面に関しては、Z‐Lと同じL20型エンジンを搭載していることもあって、遜色はない。

 それどころか、装備が簡略化されたことで車重がZ‐Lの995kgから20kgも軽い975kgだったため、スタートダッシュなどが良く、あえてS30Sを選ぶオーナーもいたようである。

 また、ワーナータイプのシンクロを持つ4速ミッション(F4W71A)は、Z‐Lに採用されたポルシェタイプのシンクロを持つ5速(FS5C71A)に比べ、カチっとしたシフトフィーリングが好まれることもあった。


廉価版であってもZ‐Lと同じL20型エンジンを搭載。

L20型エンジン、シート、4速マニュアルのシフトなど、全ての画像を見る


マフラーはスチール製の1本出しで、音は静かだ。


シートはリクライニングしない初期型。以降のS30系とは形状やステッチが微妙に異なる。シートは張り替えではなく当時のまま、しっかりした状態を維持。


S30Sは、標準で4速ミッションを搭載するため、5速から4速に戻している。シフトノブも貴重な4速用を装着。


シートの後ろには、初期型の特徴となる小物入れを装着。樹脂製のため、割れて取り外されているクルマが多い。

掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年10月号 Vol.153(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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70年式 日産フェアレディZ記事一覧(全3記事)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Motosuke Fujii/藤井元輔

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