日本に輸入された3台のうちの1台をさらにレストレーション!|1970年式 ダットサン 240Z スポーツ「ヴィンテージZ」 Vol.3

ナンバー灯はLEDに。他の全てのバルブは日本製に交換済み。

       
かつて北米日産では行われたフェアレディZのレストレーション・プロジェクト。

 ヴィンテージZと呼ばれたこのプロジェクトは北米日産と片山さんとの協力による物。

 全米中からコンディションの良いダットサン240Zを探し集め、エンジン、内装、足回りまでを新車時の状態へと戻しつつ各パーツをレストアし、ビス1本1本まで新車時に近い状態へと仕上げられた。

 この際、多くの純正部品が再生産されたことは、世界中のZオーナーへのうれしいプレゼントとなった。販売にもこだわりを見せ、全米日産系ディーラーの中から販売店を選別し、Zショップと命名。

 そして1996年、38台のヴィンテージZが発売された。

 そんなヴィンテージZ発売当時、そのニュースを知った福地竹虎さんは、どうしても欲しいと思ったのだが、仕事が忙しく、購入できなかった。

 しかし、その業務の中で知り合うことになったのが、大阪にあるカーショップ「トライアル」。その社長である牧原さんが、日本に輸入された3台のヴィンテージZの中の1台を入手した1人だったのだ。福地さんは、店内展示してあったヴィンテージZの購入を熱望。2006年、ついに念願のヴィンテージZのオーナーになったのだった。

 手に入れたものの「レストアが甘かった」という福地さん。そこからさらにレストアを進めることに。動力性能については、若い頃にレース活動で培った経験を生かし、街乗りからサーキット走行までオールラウンドにこなせるクルマへと仕上げていった。今では200km/hでも安定して走行できるという。

 間もなく愛娘が2歳を迎える福地さん。大きくなったときに安心して乗ってもらえるように、クルマを煮詰め続けるという彼のダットサン240Z生活は、まだまだ先が続いている。


Z32フェアレディZの発売中止直後の97年、北米日産によってレストアされたヴィンテージZ。わずか38台のダットサン240Zのみが再販され、そのほとんどがアメリカでの発売だったため、直接目にする機会は少ない。撮影車は、日本に輸入された3台のうちの1台だ。しかし、わずかな生産数ながら、このプロジェクトがはたした役割は大きかった。

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SUキャブはフルオーバーホール済み。燃料配管などホース類やプラグコードは全て新品に交換。


エンブレムやステッカー類もレストアされたもの。発音が議論となるDatsunだが、撮影時に通りかかったアメリカ人は「ダッツン」と発音していた。


ハヤシマグホイールがスペアタイヤとして収まる。留め具はホイールに合わせて加工済み。


センターコンソールにはヴィンテージZのエンブレムが入っている。


片山豊さんの直筆サインが書かれたサンバイザー。もちろん快走の文字が入っている。

掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年10月号 Vol.153(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Satoshi Kamimura/神村 聖

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