97年、わずか38台のみ再販されたヴィンテージZ|1970年式 ダットサン 240Z スポーツ「ヴィンテージZ」 Vol.1

       
撮影時、このクルマのそばを通った若いアメリカ人が「ダッツン・ツーフォーティー・ズィー……」とつぶやいた。それほどダットサン240Zはアメリカ人にとってなじみ深いものだ。

 スポーツカーの開発に懐疑的であった日産本社に対し、北米日産社長だった片山豊さんはアメリカでの販売促進にスポーツカーは不可欠と訴え続け、開発計画を支持。1969年にフェアレディZが発売されると、翌70年に輸出専用のL24型エンジンを搭載したダットサン240Zを北米日産で販売開始。ポルシェ911の価格が約1万ドルだったのに対し、約3600ドルに抑えたこともあって世界総販売台数約54万台(国内販売は約8万台で、ほとんどがアメリカでの販売)の大ヒットを記録した。今なおアメリカで最も売れたスポーツカーの記録はやぶられていない。

 その後もアメリカでは、S130〜Z32まで販売されたが、営業不振で1996年にZを販売中止。翌97年には、日産のブランド戦略で長年アメリカで親しまれたダットサンブランドが廃止された。

 しかし、アメリカでのZへの熱は冷めることなく、1998年には米国日産が独自にプロトタイプを製作。99年のデトロイトショーへ出品。S30Zを現在に甦らせるようなデザインであったことから世界中のZファンが熱狂。この動きがルノー傘下に入ったばかりの日産本社を動かし、一気にZ33フェアレディZ発売へとつながることになった。


Z32フェアレディZの発売中止直後の97年、北米日産によってレストアされたヴィンテージZ。わずか38台のダットサン240Zのみが再販され、そのほとんどがアメリカでの発売だったため、直接目にする機会は少ない。撮影車は、日本に輸入された3台のうちの1台だ。しかし、わずかな生産数ながら、このプロジェクトがはたした役割は大きかった。



フェアレディZではなく、ダットサン240Zであることを示すエンブレム。


モトリタ製のダットサン用ウッドステアリング。プラスチック部品は全て制振加工。ランチャネルも交換済み。


タコ足からマフラーはステンレス製のワンオフ。


点火系を強化すべく取り付けた和光CDIはオリジナルの青色では旧車に似合わないとブラックに塗装した。


サーキットを走るために必要な牽引フックも装備。色は街乗りを考えて目立たないブラックに。


1970年式 ダットサン240Zスポーツ(HLS30)主要諸元
●全長4136mm
●全幅1630mm
●全高1286mm
●ホイールベース2305mm
●トレッド前/後1356/1347mm
●最低地上高164mm
●室内長820mm
●室内幅1390mm
●室内高1075mm
●車両重量1066kg
●乗車定員2名
●最高速度205km/h
●エンジン型式L24型
●エンジン種類水冷直列6気筒SOHC
●総排気量2393cc
●ボア×ストローク83.0×73.7mm
●圧縮比9.13:1
●最高出力151ps/5600rpm
●最大トルク20.1kg-m/4400rpm
●変速比1速3.59/2速2.25/3速1.42/4速1.000/後退3.66
●最終減速比3.36
●燃料タンク容量60L
●ステアリング形式ラック&ピニオン
●サスペンション前後とも独立懸架ストラット・コイル
●ブレーキ前/後ディスク/リーディングトレーリング
●タイヤ前後とも175HR-14
●発売当時価格3526ドル

掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年10月号 Vol.153(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Satoshi Kamimura/神村 聖

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