最初は「カッコだけ」と思われたGノーズ搭載。美貌を保ち続ける未再生240ZG|1972年式 日産 フェアレディ240ZG Vol.3

基本的にはオリジナルのまま乗り続けたいというオーナーの意思のもと、最低限のエンジンパワーは確保したいとのことで、キャブはウエーバーのφ45㎜を取り付け、SKサンヨーのL型6気筒用インテークマニホールドを装着した。写真では見にくいが、キャブの下にクーラーのパイプが通る。

       
1969年に発売され人気を誇ったフェアレディZ。
 発売当初はL20型エンジンを搭載したモデルのみだったが、北米で大ヒットとなった事を受け1971年10月。L24型エンジン搭載のフェアレディ240Zが登場した。
 そんな240Zの中でも最上級グレードだったZGは、のちに「Gノーズ」と呼ばれるFRP製ノーズコーンの「エアロダイナノーズ」を装着。
 0.39という高いCd値を誇り、最高速度は210km/hまで到達した。
 最初は「カッコだけ」と思われたのだが、内容が知れわたるにつれ徐々に人気となり、S30フェアレディZの代表的なグレードと呼ばれるようになった。

 そんな240ZGを所持するのは、SR311フェアレディ2000やS54Bスカイラインを乗り継いで来た根っからの旧車ファンであるオーナーの鈴木利和さん。

 以前から憧れていた240ZGを次の愛車として探していたが、程度がよく、オリジナル度の高い個体はなかなか存在しなかったという。そんな中、ケイズヒストリックの古徳顕治さんから、程度が良いオリジナルの240ZGがあるという話が舞い込んで来た。総走行距離は少く、15年ガレージで眠っていた個体。何よりもオリジナル塗装色のグランプリレッドのオレンジとも赤ともつかない微妙な色がちゃんと残っていた。

 この車両を見たときに「もともと考えていたモディファイの数々を白紙に戻しました。今は最低限のことだけして大事に乗っていこうと考えています」という鈴木さん。長年探し求めた憧れのクルマは、最高の姿で彼の手元にやってきたのだ。


240Zと240Z-Lのボディカラーが標準で5色から選択でき、さらにオプションでグランプリマルーンが選択可能だったのに対し、最高級グレードである240ZGは選択できるボディカラーが絞られており、グランプリマルーン、グランプリホワイト、そしてこのグランプリレッドの3色からしか選択することができず、オプションカラーの設定もなかった。


ロングノーズをさらにのばしたスタイリング。これは、デザイン上のインパクトだけでなく、空力効果を高めることへも寄与し、日産の公式Cd値では0.39と記録されている。

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フロントフードにはバッジ状のZエンブレム。


左右フェンダーの下に付くフェアレディ240Zエンブレム。


この当時はリアゲートのダンパーは1本。リアゲート内のフロアカーペットのフロント側をめくると、工具入れが左右に2つ存在する。


70年代に流行したVANステッカー。「当時のステッカーで240ZG発売当時の雰囲気を演出しました」とオーナーの鈴木さん。


掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年10月号 Vol.153(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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