コンパクトで軽量なボディに、コルトやギャランで培った高い信頼性をかかげ、1973年2月に登場したのが、初代ランサー。今でこそ三菱を代表していた車種として知られているが、発売当初は若いファミリー層を狙ったラインナップがあるに過ぎなかった。
そんなランサーの名が広く知られるようになったのは、73年9月に追加されたスポーツバージョンのランサー1600GSRからだ。
このランサー1600GSRは高いポテンシャルを誇り、デビューイヤーである1973年の「第8回サザンクロスラリー」ではなんと、1位から4位までを独占。
翌74年には、最も過酷なラリーである「サファリラリー」に初挑戦。ポルシェ911をはじめとする並みいる強敵を相手に、見事優勝を飾ったのだ。その後、サザンクロスラリーは4連覇を達成し、1976年のサファリラリーでは1位から3位までを独占。ラリー史に輝く名車として名を残した。
今回紹介する今井俊彦さん所有の1974年式ランサー1600GSRは、76年のサザンクロスラリーを戦った篠塚建次郎レプリカだ。今井さんが手に入れたのは2004年6月頃で、その時点でボディは全塗装されていた。コンディションは良好で、シビエ製のヘッドランプ、補助灯、バックランプを装着。ボンネットとトランクはFRP製に変更しているが、ボディカラーと同色に塗装を施している。
外装に合わせて、車内も本格的なラリー仕様に仕上げているのもポイントで、3点式ロールバー、レカロシートをはじめ、助手席前にはラリー用計器のJECO製デジタルツイントリップメーター、マップランプなどを装備。現在もラリーイベントなどに参加する際に役だっているとのこと。
ドア後方、リアフェンダーに「GSR」のエンブレムが輝く。他グレードでは、何も付かない。
今井さんの好みで、純正のダウンドラフトタイプのツインストロンバーグから、サイドドラフトのSUツインキャブに変更している。
マフラーはデフホーシングの上側を通って後方に抜けるレイアウトとなっていて、小気味よい排気音を発していた。
レカロ製シートは4点式ハーネス、ロールバーで安全を確保。
掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年12月号 Vol.154(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)
text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功
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