当初は長く乗るつもりは無かったが、気がつけば23万キロ。開発当時を知るオーナーが愛する初代シビック|1975年式 ホンダ シビック 3ドア RS Vol.2

当時流行していた後付けのサンルーフを装着。純正の天井をカットする大胆な手法だが、補強もしっかり入っている。オープン時の風の巻き込みを防ぐサンルーフディフレクターも装備するスグレもので、現在も使用可能。

       
国内外で大ヒットしたホンダ シビック。

 その1代目のシビックは高性能を売りにしていたホンダから登場したベーシックカーとして登場した。

 1972年のデビュー当初は2ドアのみの設定で、スタンダード、デラックス、ハイ・デラックスのグレードが用意されていたが、「シビック」の名の通り、庶民のための実用主義のクルマであったため、熱狂的なホンダファンからは、スポーツバージョンを望む声が強かった。

 そして、その声に応えるべく、1974年11月、シビック初のスポーツバージョンとなる「RS」が、満を持して発売された。
 このRSはレーシングスポーツではなく、「ロード・セイリング」と発表された。当時の社会情勢から、スポーツバージョンではなく、高速ツアラーのイメージを打ち出していたのだ。

 そんなRS専用の装備としては、ウッド製ステアリングとシフトノブやRS用アクセルペダル、フットレスト、バックスキン・タイプRS用シート、オーバーライダー付大型バンパー、左右2個の後退灯などがあげられる。また、フロントフェンダーはRS専用で、アーチ部分の先端に平らな折り返しがないのが特徴。リアフェンダーと見比べると、アーチ部分の違いが分かるはずだ。

 このRSをベースにしたTSマシンが1974年にデビューし、マイナーツーリングシリーズに、チームヤマト(ホンダの社内チーム)が参戦。強敵のサニーやスターレットと熾烈なバトルを繰り広げ、1981年は大場次雄、83年は佐藤克明が、見事チャンピオンを獲得した。

 今回紹介する初代シビックRSのオーナーは、千葉富雄さん。

 当時は本田技研工業に勤めていて(現在は定年退職)、発売から半年後にRSを購入し、ワンオーナーで23万kmを走破している。しかも、ボディはノンレストアで、当時の純正塗装のままらしい。千葉さんによると、

「RSの開発時は、レーシングスポーツだったんだと思います。4連キャブ仕様などの、もっとパワフルな仕様が検討されていたようです。しかし、オイルショックや排ガス規制の問題があって、ロード・セイリングというネーミングになったんだと思います。それと、オーバーフェンダー付きも検討されていたんです。私は塗装が専門だったんですが、開発車のオーバーフェンダー4枚を黒く塗ったのを覚えてます」

と、当時の開発秘話を語ってくれた。

「当時は37年も乗るとは思っていなかったんですが、今となっては、優越感みたいなのもあって、手放せないですね」

と、RSの魅力を再認識したようだ。


イメージカラーとしてカタログモデルで採用されたサンセットオレンジをまとったRS。ワンオーナーで37年目となるが、再塗装を行っていないため、オリジナルの塗装とのこと。RSの外観上の特徴としては、フロントグリルのエンブレム、13インチのタイヤ&ホイール、そして、RS専用のシャープなラインのフロントフェンダーがスポーツグレードの証しである。、なお、前後バンパーに標準装備されていたオーバーライダーは、オーナーの好みではずしてある。


4.5J×13のワイドリムにはステンレス製のホイールリングが付き、155SR13のラジアルタイヤがRSの標準。スパッとカットしたようなフロントフェンダーはRS専用だ。


フェンダーミラーは丸形で、脚が長いのが特徴的。ボンネットの左右には、エアを抜くためのエアアウトレットが設けられている。


マフラーは吸気系などのパワーアップに対応したRSの純正で、スポーティーなサウンドを発する。


点火系を強化するため、純正のポイント式からウルトラ製のフルトラに変更している。



踏ん張りが利くフットレストや、ヒール&トゥがしやすい形状のアクセルペダルは、RSの標準装備となっている。


リッター23kmをうたった5速MTはRS専用。リバースはプッシュ式が採用された。

掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年12月号 Vol.154(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Makoto Inoue/井上 誠

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