バティスタのデザイン! イタリアのイケメンが認めたオープンカー │ 1969年式 アルファロメオ スパイダー1300ジュニア Vol.2

魅力的なポートテールのリアビュー。

       
1969年式アルファロメオ スパイダー 1300 ジュニア Vol.2

ピニンファリーナ創始者であるバティスタ・ファリーナが直接手がけた最後のプロジェクトであったアルファロメオ1600スパイダー。ポートテールのデザインそのままに、ダウンサイジングされて登場したスパイダー1300ジュニアの魅力に迫る。


本来スパイダー1300ジュニアのライトにカバーは付かない。これは後から付けられた1600スパイダーのもの。

基本設計を大きく変えることなく27年間販売し続けられたアルファロメオスパイダーは、アルファロメオの代表的なモデルであるとともに、ピニンファリーナの代表的なデザインでもある。

2012年に亡くなったセルジオ・ピニンファリーナの父であるバティスタの最後のプロジェクトとしても名高いアルファロメオ1600スパイダーは、ポートテールと呼ばれるなだらかなリアの形状が特徴。これはバティスタがデザインしたジュリエッタSSスパイダー・スペチアーレや、それ以前のC52ディスコボランテに通じるもの。

しかし、その後の直線的なカムテールデザインは、ピニンファリーナデザインの主流となるセルジオらしい直線的で力強いものだ。このようにアルファロメオスパイダーはピニンファリーナデザインの変化とともに進化し、長年人気を誇ったのだ。


ピニンファリーナのデザインを示すエンブレム。


ジュリア・スプリントGTVの1570ccエンジンを搭載したアルファロメオ1600スパイダー・デュエットだったが、1967年に1779ccエンジンを搭載した1750スパイダー・ヴェローチェへとマイナーチェンジ。それによって空白のできた小型オープンカーという市場を埋めるべくGT1300ジュニアの1290ccエンジンを搭載して登場したのがスパイダー1300ジュニアだ。

若者向けの小排気量版を発売するのは今も昔も変わらないアルファロメオの特徴。しかし2基がけしたツインチョークウエーバー付きのエンジンや、当時まだ珍しかった5速ミッションは廉価版のレベルではなく、若者を中心に人気を博した。


スパイダーを一躍有名にしたダスティン・ホフマンの主演映画『卒業』に登場するのもスパイダー1300ジュニアである(1600であるという説もあり)。映画の中でミッションの癖を説明するシーンは、ニヤリとするところだ。

また、スパイダー1300ジュニアにはデュエットというペットネームは付かない。しかしながら、デュエットと呼ばれた1600スパイダーと同じシルエットを持つこの車種を他人に説明する際、「デュエット」と言えば納得する人がほとんど。ゆえに正式名称でないと分かっていても、あえてスパイダー1300ジュニア・デュエットと呼ぶ人も多い。



オリジナルの状態を保つアルファツインカムエンジン。シンプルなエンジンゆえに故障も少ないという。排気量による見た目の差が少ないのも特徴だ。


ウエーバーツインキャブ仕様のエンジン。もちろんスポーツクリーナーなどは搭載されず、エアクリーナーも純正のまま残されている。


マフラーは純正オリジナルを交換済み。






1969年式 Alfa Romeo Spider 1300 Junior
●ボディカラー ロッソファリーナ
●全長 4120mm
●全幅 1626mm
●全高 1295mm
●ホイールベース 2250mm
●トレッド 前1324/後1274mm
●車両重量 990kg
●乗員定員 2名
●エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC
●総排気量 1290cc
●ボア&ストローク 78.0×67.5mm
●圧縮比 9.0:1
●最高出力 104ps/6000rpm
●最大トルク 14.0kg-m/3200rpm
●ブレーキ 前後ともディスク
●タイヤ 前後とも155/SR15


掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年10月号 Vol.153(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Daijiro Kori/郡 大二郎

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