RUF BTRのプロトタイプここにあり! 高速道路にステージが変わったとたん挙動がどんどん安定!│ 1977年式 RUF NATO(ルーフ・ナトー) Vol.2

唯一分解していないエンジン。オールドボーイに入庫した当時から調子が良かったため、オイルシール類やホース類を新品パーツに交換したのみとのこと。エンジンルームからはみ出すほどの大容量インタークーラーはRUF NATOオリジナルのパーツ。最高出力が374ps、最大トルクが49kg‐mと発表されたBTR。その開発車両がNATOだった。

1977年式 RUF NATO(ルーフ・ナトー) Vol.2

 ポルシェをベースとしたコンプリートカーを製造するRUF。世界最速の市販車記録を塗り替えるクルマをリリースし続け、ドイツ国内だけでなく、世界中に熱狂的なファンを持つ。そんなRUFには、妖しい輝きを持つ1台のクルマが存在した。

 もともとがRUF BTRを開発するためのプロトタイプとして存在していたNATOは、RUFの代理店だったイシダエンジニアリングにより日本に持ち込まれた。世界にたった1台しか存在しないクルマだが、テストによるデータ取りで、過酷な走行を強いられたエンジンやボディは製作から35年が経過し、ヤレがひどくなっていった。最終的には、動かされることもなく、ガレージの奥にしまい込まれていた。


 そんな状態で持ち込まれたのが、岡山にあるオールドボーイ。 広大な敷地とレストア専門工場を持ち、ポルシェをはじめ、フェラーリ、ディノ、BMW、トライアンフなど欧州車を中心に数多くのクルマのレストア実績を持つ、日本国内でも屈指の輸入車専門ショップだ。

 持ち込まれたRUF NATOは外装、内装、足回りまでをすべて分解し、メカニックの三垣嘉徳さんを中心としたスタッフでフルレストア。その妖しいマットオリーブドラヴカラーまでキチンと再現された。  

 現在のレストア技術によってよみがえったRUF NATOは当然のことながら動力性能はもちろん、内外装の状態にいたるまで、製作された1977年当時以上のレベルへと進化した。



 オールドボーイ社長の前田道夫さんがステアリングを握り、助手席に同乗し試乗に出てみる。するとアイドリングは驚くほど静かで、滑らか。室内に旧車特有のガソリン臭もなく、皮革製セミバケットシートの香りが漂うほどおだやかで快調だ。 だが、走り出すとその好印象は薄れる。混雑した街道では、もっさりとした挙動で、現在のクルマとは比較にすらならない。「もう少し能力を引き出してみよう」と高速道路へ進路変更する。

 すると、高速道路にステージが変わったとたん、クルマの印象は180度変わる。シートに張り付けられるほどの加速とともにターボブーストの針が上昇。ブースト計が1.0barを指さないうちに、ドッカンターボが発動。しかしそこからは、左右にガタガタ振られるような不安定さは消え去り、高速道路の制限速度いっぱいまで一気に加速する。強烈な加速による恐怖感よりも、クルマの挙動がどんどん安定していく楽しさが上回る。


 得体の知れないRUF NATOの本性を垣間見た一瞬だった。その魅力はどこまでも妖しく、まさに唯一無二の存在といえるだろう。



3本ステアリングがRUF製のクルマであることを主張。ダッシュボードには、機械式ブーストコントローラーを装着。ちなみにキーの差し込み口はダッシュボード上に存在。


シートはレカロの皮革製セミバケット。背にRUFのロゴが入っているが、当時装着されていたものではないとのこと。



ボディから大きく飛び出すオーバーフェンダーは930ターボより車高が低いため、さらに迫力を増している。ホイールはイタリアの老舗ホイールメーカーであるスピードライン製。RUF NATOのもう1つの目的である930ワンピースホイール開発のために装着された5本スポーク。フロント9×17インチ、リア10×17インチ。


掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年8月号 Vol.152(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)


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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Hirotaka Minai/南井浩孝 cooperation:Old Boy/オールドボーイ

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